江戸後期の漢学者、音韻学者。名は方(ほう)、字(あざな)は叔亀(しゅくき)。代々の福山藩士の家に生まれ、のちに同藩御年寄役にまで進む。『韓非子(かんぴし)』『墨子(ぼくし)』『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』など漢学関係にも造詣(ぞうけい)が深く、数種の著述を残しているが、後世に与えた影響はおもに音韻学に関する業績によるもので、主著『漢呉音図(かんごおんず)』およびその補説『音徴不尽(おんちょうふじ)』『同窠(どうか)音図』『音図口義(くぎ)』はとくに著名である。また、江戸時代の俗語類を集成した『諺苑(げんえん)』およびその改編本『俚言集覧(りげんしゅうらん)』の著者としても知られている。
[沼本克明 2018年10月19日]
(高橋昌彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
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…初代の宗門改役井上政重が後任の北条正房に引き継いだ折の留書や禁教法令などをもとに1797年(寛政9)福山藩儒学者太田全斎が編集した記録書。上下2冊。…
…字音仮名遣いの歴史主義は,この伝統を学問的に合理化しようとしたものである。かくて,宣長をうけて太田全斎が《漢呉音図》を著したのは,このような伝統を理論的におし進めたものである。全斎にもとづいて,白井寛蔭は,《音韻仮字用例》を著した。…
…太田全斎編の国語辞書。26巻。…
※「太田全斎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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