太神山(読み)たなかみやま

改訂新版 世界大百科事典 「太神山」の意味・わかりやすい解説

太神山 (たなかみやま)

田上山,田神山とも書く。滋賀県南部,琵琶湖から流出する瀬田川左岸にある山で,大津市に属する。標高600m。全山がほとんど花コウ岩からなり,風化がはげしく,瀬田川の支流大戸(おおど)川に流出した土砂が瀬田川を埋め,琵琶湖の排水を妨げて,湖岸にしばしば大水害をひき起こした。一帯は古く田上杣とよばれ,松,杉,ヒノキなどが神社・仏閣の建築用材として乱伐されたので,奇岩の露出するはげ山であったが,近年の植林砂防工事の結果,樹木はふえている。明治期には水晶トパーズ(黄玉)の産出で知られたが,今ではほとんど発見されない。西麓に田上鉱物博物館があり,日本各地の鉱物を展示している。山頂にある不動寺の寄棟造・檜皮葺き(ひわだぶき)の本堂は南北朝時代の建築(重要文化財)である。太神山一帯は〈湖南アルプス〉と称され,三上田上信楽(しがらき)県立自然公園に属し,東海自然歩道が通じている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太神山」の意味・わかりやすい解説

太神山
たなかみやま

滋賀県南西部,大津市の南東部にある山。標高 600m。湖南アルプスとも呼ばれる田上山群の主峰で,大部分花崗岩からなる。古くは東大寺藤原京平城京の建築用材としてヒノキが伐採された。江戸時代ははげ山であったが,明治5(1872)年以来,治山事業が行なわれ,かなり回復した。明治初期には黄玉石,水晶が多量に採掘,輸出された。山頂に智証大師(→円珍開創の不動寺があり,田上不動として知られる。東海自然歩道が通じ,三上・田上・信楽県立自然公園に属する。

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