太陽光発電(読み)たいようこうはつでん

知恵蔵「太陽光発電」の解説

太陽光発電

太陽光エネルギー電力に変換する発電方式のこと。一般には太陽電池を利用して、光エネルギーを直接電力に変換している。人工衛星や無人灯台の電力として1960年代から広く実用化され、近年では時計や電卓などの日用品にも利用されている。
再生可能エネルギーである太陽光をエネルギー源とするため、継続的反復的に発電でき、最小単位の発電装置はコンパクトかつ比較的長寿命でメンテナンスも軽微もしくはほとんど不要であることから、前述のような環境・設備での利用が広がった。しかし、大規模な商用発電のためには、火力などの発電方式と比べて広大な設置面積が必要である。また、太陽電池は製造コストが高く、夜間には発電できないなどのデメリットもある。
地表に到達する太陽エネルギーの密度は、日本付近では1平方メートル当たり1キロワット程度になり、太陽電池の変換効率は20%程度にまで向上している。自家用などの小規模なものならば、建物の屋根や構造物の表面にも簡易に設置できるため、潜在的な資源量は日本の総電力需要をはるかに上回る。輸入に頼る化石燃料を必要とせず、エネルギー自給率を高めるとともに、発電そのものについては温室効果ガスとされる二酸化炭素の排出も伴わない。また、問題視されていた太陽電池の製造コストは普及とともに逓減してきているため、数十年内にはトータルの発電コストにおいても火力と逆転するとの予測もある。小規模で不安定な多数の太陽光発電施設を電力網に組み込むためには、スマートグリッドなど安全かつ効果的な制御が求められるが、将来有望なエネルギーである。
太陽光発電は夏季の昼間の冷房需要による電力ピーク時には大きな出力を見込めるが、悪天候や夜間における発電量の変動が大きいので、主たるエネルギー源とは成り難い。一方、原子力発電では安全上の問題から24時間ほぼ100%の出力で連続運転が求められ、それゆえ、需要が減少する夜間には電力の過剰が生じて送電の安定が損なわれる危険性がある。
この対策として、ロスが多くコストの高い揚水発電所を建設したり、廉価な料金設定で深夜電力利用を促したりする必要がある。また、需要増加時の不足を補うため、相当規模の火力発電所などを待機させる必要もある。太陽光発電が増加すれば、これらの需給の変動をある程度吸収することができ、有効な対応手段となる。さらに、太陽光発電は消費地直近に設置することもできるので送電網に余裕を生み出すなど、補助的な発電方式としてのメリットは大きい。日本の太陽光発電設備容量は世界第3位の214万キロワット(2008年末累計)だが、環境省の「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会」の提言では、家庭の余剰電力の固定価格買取制度等を通して飛躍的な普及を図り、30年には国内累積導入量7900万キロワットを目指すとしている。

(金谷俊秀  ライター / 2011年)

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日本大百科全書(ニッポニカ)「太陽光発電」の解説

太陽光発電
たいようこうはつでん

太陽光が当たると電気を発生する太陽電池を利用して、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電方式。シリコン半導体を用いる太陽電池は1954年に発明されたが、その基本的原理はp形半導体(ホウ素を添加してつくる)とn形半導体(リンを添加してつくる)の接合部に光が当たると電位差が生ずる性質を利用したものである。

 太陽エネルギーは、無尽蔵、クリーンかつ「ただ」であり、石油のような地域的偏在もないというメリットがあり、さらに国産エネルギーであることから、エネルギー自給率の向上への貢献や分散型エネルギーシステムとして防災対応やレジリエンス強化にも資すること、また、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しないため気候変動防止に貢献すること、などのメリットがある。しかし一方では、太陽光のエネルギー密度が小さく、天候条件に左右される点や、必要設備のコストが高いこと、太陽電池の発電効率が低い、発電が自然条件に大きく左右される太陽光発電や風力発電が大量導入された場合の電力安定供給体制への影響など、さまざまな課題もある。

 しかし、気候変動対策が世界的に重視されるなか、発電コストの急速な低下や各国政府による強力な支援策の影響もあって、太陽光発電の普及に拍車がかかっている。国際石油メジャーであるイギリスBP社の統計によれば、世界の太陽光発電量は2010年の337億キロワット時から2020年には8557億キロワット時へと25倍以上に増加した。2020年時点での太陽光発電の世界の発電全体に占めるシェアは3%にとどまっているが、今後の普及拡大でシェア増大が予想されている。

 日本でも再生可能エネルギー普及推進のための政策が強力に推進され、固定価格買取制度(FIT制度)が導入された2012年(平成24)以降、太陽光発電はとくに急速に拡大した。2020年(令和2)6月末時点でのFIT設備認定容量は全体で9310万キロワット、うち太陽光発電設備容量が7430万キロワットとなっている。かりにFIT設備9310万キロワットがすべて運転開始すると、FIT制度による賦課金(消費者負担額)は累積で60兆円に達し、1キロワット時当り電力コストを平均3.4円上昇させるとの試算もある。そのため、日本ではいかに経済合理的に太陽光発電などの再生可能エネルギーを推進するかが、重要な課題となっている。第6次エネルギー基本計画では、2030年の温室効果ガス排出を2013年比46%削減するため、2030年の電源構成(エネルギーミックス)で再生可能エネルギーが36~38%のシェアとなるまで拡大する目標がたてられ、その中心が太陽光発電の増加になるものと位置づけられている。

[小山 堅 2022年1月21日]

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百科事典マイペディア「太陽光発電」の解説

太陽光発電【たいようこうはつでん】

太陽電池による発電システムで,光起電力効果を応用して太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電である。ソーラー発電とも。太陽電池はシリコン半導体などを使うシリコン系が一般的だが,有機化合物を用いる太陽電池も開発されている。シリコン系太陽電池で,光エネルギーが電気に変換される割合(=変換効率)は理論的には29%,2014年現在で実用としては15〜20%。技術の進歩により,年々変換効率は向上している。複数個の電池を直列につないでモジュール化した太陽光パネルソーラーパネル)を用いる。環境にクリーンなエネルギーとして期待されるが,天候,気温,地形などによって出力が左右され,他の発電に比べてスケールメリットが低いという難点がある。小規模・分散型の電力需要には適している。蓄電池や充電池,送電の改良によって電力需要の相当部分を賄うことが期待され,地球温暖化問題に加えて,2011年3月の福島第一原発事故で,各国とも脱原発依存のエネルギー政策を推進する必要に迫られており,風力発電とともに普及に力を入れ始めている。地域別の世界の太陽光発電導入量は,世界第1位のドイツを含むヨーロッパが全体の80%を占め,日本,北米,中国が続いている。太陽電池の生産量のシェアは,中国・台湾が合わせて59%,ヨーロッパ13%,日本9%(2010年現在)である。
→関連項目節電

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「太陽光発電」の解説

太陽光発電
たいようこうはつでん
photovoltaic power generation

太陽エネルギー太陽電池で受けて電力を得る発電方式。太陽電池は,シリコン(ケイ素)などの半導体に光をあてると起電力を生じることを利用したもので(→光起電力),用途は幅広く,人工衛星宇宙ステーションや無人施設の電源から,時計や電子式卓上計算機にまで用いられる。地球温暖化の原因である二酸化炭素などを発生せずに発電するため,石油,石炭天然ガスなどの化石燃料による温室効果ガスの削減に貢献できるとして世界的に開発が進んだ。日本では費用の高さなどから普及が遅れていたが,設備の設置については補助金制度が設けられ,発電した量から使用量を引いた残りの電力については 2009年11月に電気事業者(電力会社)による余剰電力の買取制度が始まり,導入が促進された。2011年3月の福島第一原子力発電所事故発生後は,電力の安定供給と原子力発電への依存の低減を目指し,2012年7月から太陽光発電を含む再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まった。また出力 1000kW(1MW)超の発電能力をもつ大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設が各地で進められた。

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リフォーム用語集「太陽光発電」の解説

太陽光発電

太陽電池を利用し、太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換する発電方式のこと。パネルの重量に耐えることができる場所であれば屋根やなど建造物の様々な場所に設置が可能。また近年は軽量で柔軟なフレキシブル型太陽電池も開発されており、取り付けの自由度が高まっている。

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精選版 日本国語大辞典「太陽光発電」の解説

たいようこう‐はつでん タイヤウクヮウ‥【太陽光発電】

〙 シリコン半導体を利用した太陽電池を使用し、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変えること。

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デジタル大辞泉「太陽光発電」の解説

たいようこう‐はつでん〔タイヤウクワウ‐〕【太陽光発電】

太陽電池などを利用して太陽の光エネルギーを電気に変換する発電方式。ソーラー発電。

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