太陽熱(読み)タイヨウネツ

デジタル大辞泉 「太陽熱」の意味・読み・例文・類語

たいよう‐ねつ〔タイヤウ‐〕【太陽熱】

太陽光から得られる熱。→太陽熱発電

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改訂新版 世界大百科事典 「太陽熱」の意味・わかりやすい解説

太陽熱 (たいようねつ)

太陽から地球に到達する熱エネルギー。太陽は中心部での熱核反応によって膨大なエネルギーを周囲の空間に放射しているが,地球大気の上限に達するのはそのごくわずかでしかない。地表面に達するまでにはさらに大気や雲によって吸収,散乱されるので,地表に達するのは地球大気上限のエネルギーの約3分の2に減る。理想的な条件で計算すると,平均して1m2当り0.9kWになるが,緯度,季節,天候によって違う。世界的にみると,受熱量の多いのは北アフリカの砂漠地方で,日本はその約半分,北欧の約1.5倍である(日射)。

 エネルギー需要の多い冬と夏の日本の天候は晴天に恵まれる気候なので,ヨーロッパなどにくらべると好条件にあり,関東,東海地方から瀬戸内,九州南部には太陽熱利用に好適な地域が広がっている。太陽熱があまり利用されないのは,天気の影響を受けやすく,間欠的であること,低密度なので集約しなければ大きなエネルギーにならないことなどのためである。しかし,近年,太陽熱利用の技術改良が進み,将来性が大きい。現在では,太陽放射を利用する効率は太陽電池5~15%,熱源としての直接利用は20~80%,植物の光合成で0.2~2%といわれている。

 太陽熱利用の例をあげると,平板型太陽熱コレクターは熱媒体の温度を100℃以下まで上昇させ,熱効率は25~50%となる。これを有効利用するためには蓄熱法の開発が必要で,これができると夏に蓄えた太陽熱を必要度の高い冬に利活用できる。集光型コレクターは熱媒体の温度を300℃以下まで上昇させることが可能で,太陽光を追跡できるヘリオスタットと受光器を組み合わすと300~1100℃にも達する。太陽熱発電は集光型コレクターで蒸気をつくり,これでタービンを回転させて発電する。太陽熱発電の実験用大型プラントがアメリカ,フランスなどで建設されている。日本でも香川県仁尾町(現,三豊市)に作られ,実用化に踏み出した。太陽電池は太陽放射の直達光と散乱光の両方を利用できるが,その変換効率はまだ小さく,シリコン結晶型で10%,アモルファスで5%程度であるうえ,価格が高いので一般に利用されるところまでは至っていない。大きな蓄熱装置を必要としない太陽熱利用の方法もある。たとえば,建物に南向きの窓を多くして日射を直接利用したり,建築材料への蓄熱,自然対流,断熱効果を入れた建築構造をもとにして,太陽熱を有効に利用する方法もある。植物は光合成によって太陽熱を約1%の効率で同化することができる。その結果蓄えられたバイオマスをエネルギーとして有効に利用するバイオマス変換の技術が,現在盛んに研究されつつある。

 将来のエネルギー政策における太陽熱の評価はまちまちであるが,太陽熱は石油,石炭,原子力にくらべると環境汚染はなく,その量は無限に近いので,各国とも開発につとめている。スウェーデンは,エネルギーを効率よく使い,エネルギー使用量が少なくてすむことを柱にして,石油や原子力に頼る政策を捨て,かわりに国内の太陽エネルギーを活用し,2010年ころには太陽熱,太陽電池,風力,水力,バイオマス変換などでまかなうことを計画している。
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百科事典マイペディア 「太陽熱」の意味・わかりやすい解説

太陽熱【たいようねつ】

太陽から放射の形で地球に到達するエネルギー。太陽定数から計算される全到達エネルギーのうち,日射の形で地表に到達するのは大気による吸収などのためその約3分の2で,平均して1m2当り0.9kWになる。このうち約47%が海面,湖面,地面からの長波長に,約20%が大気への熱伝達に消費され,陸上,海中の植物(プランクトンも含め)の生育に使われるのは0.2%程度にすぎない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「太陽熱」の意味・わかりやすい解説

太陽熱
たいようねつ

太陽

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