妻木晩田遺跡(読み)むきばんだいせき

日本歴史地名大系 「妻木晩田遺跡」の解説

妻木晩田遺跡
むきばんだいせき

[現在地名]大山町、米子市淀江町

鳥取県西部の大山山麓に所在する国内最大級の弥生集落遺跡。大山山系から続く丘陵(通称晩田山)上に位置し、美保みほ(日本海)を一望できる。平成七年(一九九五)から一○年にかけて、ゴルフ場建設計画に伴い、大山町と西さいはく淀江よどえ(現米子市)の教育委員会により発掘調査が行われ、全国的な保存運動も展開された結果、国史跡の指定を受け、保存・整備が図られる。

集落標高九○から一二○メートル前後(平野部との比高差一○○メートル前後)の尾根上を中心に立地し、面積約一七○ヘクタールに及ぶ。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「妻木晩田遺跡」の解説

むきばんだいせき【妻木晩田遺跡】


鳥取県米子市淀江町、西伯郡大山(だいせん)町妻木ほかにまたがる集落跡。弥生時代後期(1~2世紀)を中心とする大規模な集落遺跡で、1995年(平成7)にリゾート開発のための事前調査が始まり、1997年(平成9)までの3年間で弥生時代の大規模な集落が明らかになった。開発は中止されて全面保存されることになり、1999年(平成11)に国の史跡に指定された。遺跡は中国地方の最高峰大山の西北に位置し、標高約90~150mの丘陵地にある。丘陵尾根上の複数箇所に分かれ、洞ノ原、妻木山、妻木新山、仙谷、松尾頭、松尾城、小真石清水に大別される。継続して行われている発掘調査で、420棟以上の竪穴(たてあな)住居跡や500棟以上の掘立柱建物跡、30基以上の墳丘墓が確認されている。未調査部分を合わせると1000棟を超えるとみられ、弥生時代の集落規模としては最大級である。一般の居住域に加えて首長層の居住区や祭祀空間、墓域、貯蔵空間、見張り施設など、大規模集落の全体像が明らかになり、また、集落の始まり(弥生時代中期後葉)から最盛期(後期後葉)、終焉(古墳時代前期)までを住居跡や墳墓などからたどることができる。特筆すべきは遺物鉄器が多いことで、工具や掘削具など370点以上が出土し、朝鮮半島や北部九州の影響を受けたとみられるものもあり、交流によってもたらされたと推察される。現在は「むきばんだ史跡公園」として整備、公開されている。JR山陰本線淀江駅から車で約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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