宇智川磨崖碑(読み)うちがわまがいひ

精選版 日本国語大辞典 「宇智川磨崖碑」の意味・読み・例文・類語

うちがわ‐まがいひうちがは‥【宇智川磨崖碑】

  1. 奈良県五條市宇智川下流左岸にある碑。雲母片岩の二メートル近い絶壁面に、「大般涅槃経(ねはんぎょう)」を八行に浅く陰刻し、離れて仏像一体が彫られている。奈良末期の作碑と推定される。国史跡

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日本歴史地名大系 「宇智川磨崖碑」の解説

宇智川磨崖碑
うちがわまがいひ

[現在地名]五條市小島

宇智川の不動ふどう橋の下、左岸の岩壁に陰刻されている。国指定史跡。「集古十種」にも収められた奈良時代の涅槃経の碑である(括弧内は不明文字を補った)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「宇智川磨崖碑」の解説

うちがわまがいひ【宇智川磨崖碑】


奈良県五條市小島町にある磨崖碑。五條市を流れる宇智川は、金剛山の東南部に源を発し、吉野川に注ぐ川で、峡谷にかかる不動橋の下部にある結晶岩の岩壁に、奈良時代の年号宝亀)をもつ涅槃(ねはん)経が刻まれている。この磨崖碑は、年代が確実なことから、宗教上、学術上からみて希有な資料とされ、1921年(大正10)に国の史跡に指定された。経文の横には高さ60cmの蓮華座に載る立像が線刻されており、観音像と判明。経文と同じ奈良時代後期の作とみられている。JR和歌山線五条駅近くの五條バスセンターから奈良交通バス「栄山寺口」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇智川磨崖碑」の意味・わかりやすい解説

宇智川磨崖碑
うちがわまがいひ

奈良県五條(ごじょう)市小島町の小島より今井にかけて存在する奈良時代の磨崖碑。碑は宇智川下流左岸の岩壁に『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』(8行102字)が陰刻されており、宇智川磨崖経碑とも称されている。碑文の左側には陰刻年代の明らかでない蓮座(れんざ)にのる菩薩(ぼさつ)像がみられ、また付近には718年(養老2)創立と伝える栄山寺がある。本碑所在場所がかつての同寺境内であるため、その関係が考えられている。

[坂詰秀一]

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