安里屋ユンタ(読み)アサドヤユンタ

デジタル大辞泉 「安里屋ユンタ」の意味・読み・例文・類語

あさどや‐ゆんた【安里屋ユンタ】

民謡の一。沖縄県八重山列島竹富島で、江戸時代中ごろに生まれた叙事詩体の作業歌。「マタハーリヌチンダラカヌシャマヨ(去りゆくかわいいひとよ)」の一節を用いて、第二次大戦中には替え歌が流行

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改訂新版 世界大百科事典 「安里屋ユンタ」の意味・わかりやすい解説

安里屋ゆんた (あさどやゆんた)

沖縄県八重山郡竹富町字竹富に伝わる民謡。昔,竹富島を治めるため新しく赴任した目差主(めざししゆ)は賄(まかない)女には村一番の美女をと探しまわり,玻座真(はざま)村の安里屋の娘クヤマに白羽の矢を立てたが,クヤマは婚約者がいることを理由に断る。面目をなくした目差主はその足で隣村の仲筋(なかすじ)に行き,美女のイシケマをくどき落とした。クヤマの勇気と,傲慢な村役人の目差主のろうばいぶりを筋に,村人たちがさっそく歌にした。後世この労働歌である〈ゆんた〉を八重山の士族三味線にのせて〈安里屋節〉という節歌(ふしうた)にした。さらに1934年に星克(ほしかつ)作詞,宮良長包(みやらちようほう)作曲の〈サー君は野中の茨(いばら)の花か〉で始まる《安里屋ユンタ》が日本コロムビアからレコード化され,全国的に流行し沖縄を代表する民謡となった。
ゆんた
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安里屋ユンタ」の意味・わかりやすい解説

安里屋ユンタ
あさどやゆんた

沖縄県八重山(やえやま)列島の竹富島で酒盛り唄(うた)として歌われてきた唄。作者、制作年代不詳。竹富島安里屋にいた絶世の美人クヤマを詠んだ叙事詩風のもので、美人をたたえ、さらに人生観として役人より島の男を選ぶといった歌詞である。それが沖縄本島へも広まったが、第二次世界大戦中、宮良長包(みやらちょうほう)がこの唄を編曲、流行歌調に仕立て直したところ、各節の終わりに繰り返される「マタハーリヌ チンダラ カヌシャマヨー」(離りゆく愛(かな)しき人、の意)が、本土からきた兵隊には「死んだら神さまよ」と聞こえるため、世相風刺と自嘲(じちょう)から盛んに歌われ始め、日本中に広まった。

竹内 勉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安里屋ユンタ」の意味・わかりやすい解説

安里屋ユンタ
あさどやユンタ

沖縄八重山地方の民謡。集団的な労作歌の代表種目である「ユンタ」の代表曲。原歌は,竹富島安里屋の美しい娘に結婚を断られた村役人が,隣村で別の娘を手に入れ喜ぶという内容の長い叙事的なものだが,これを簡略化して伴奏をつけて「節歌 (ふしうた) 」とした『安里屋節』を,さらに替え歌としたものによって全国に知られる。

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