日本大百科全書(ニッポニカ) 「保守政党」の意味・わかりやすい解説
保守政党
ほしゅせいとう
conservative party
一般には、現体制を維持し、伝統的価値を重視することに利益をみいだしている政党。急激な変化を嫌い漸進的改革を好む。たとえば、18世紀イギリスにおいて地主階級を支持基盤とし、産業資本家層の支持するホイッグ党と対抗したトーリー党がその典型例。ちなみに、トーリー、ホイッグは、1832年の第一次選挙法改正時に、それぞれ保守党、自由党と党名を改称している。しかし、19世紀末ごろから先進諸国において社会主義政党が登場してくると、保守政党とは資本主義体制を擁護する政党をさすようになった。この意味では、アメリカの共和・民主両党、イギリスの保守党、第二次世界大戦前の日本の政友会・憲政党、戦後の自由民主党、ドイツのキリスト教民主同盟などは保守政党とよぶことができよう。
これに対し、各国の社会党や共産党は革新政党とよばれ、保革対決とか保革逆転などという用語法は上記のような保守政党の定義に由来する。もっとも第二次大戦後、保守政党も社会福祉・社会保障政策などにも取り組み始め、ヨーロッパ諸国のなかには、革新政党が保守政党と連立政権を組むような事態も現れてきているので、保守・革新の区分も、かつてほどには明確ではなくなってきている。日本でも、1993年(平成5)に「55年体制」が崩壊し、自民党から分裂した旧新生党や旧日本新党などの保守党を中心とする細川連立政権に旧社会党が参加し、また94年には、村山富市(とみいち)旧社会党委員長を首班とした自民党との連立政権ができたため、今日では共産党を除くすべての政党が保守政党に変質したといえよう。
[田中 浩]
『田中浩著『戦後日本政治史』(1996・講談社)』