幕末の洋学者。日本における新聞・雑誌の創始者。名は春蔭(はるかげ)、号は柳屋主人など多数。天保(てんぽう)3年2月25日名古屋生まれ。初め西村辰助(たつすけ)といったが、のちに良三と改め、さらに1856年(安政3)柳河春三と改称した。漢学を学んだのち、尾張(おわり)の藩医伊藤圭介(けいすけ)のもとで蘭(らん)医学を習得。江戸に出て紀州藩に仕えた。洋学者として評判高く、1864年(元治1)幕府の開成所教授職に抜擢(ばってき)された。開成所では職務として外国新聞を翻訳していたが、しだいに新聞・雑誌に興味をもち、同僚と会訳社を組織し、回覧雑誌を編集。また伝聞したニュースを集め『新聞薈叢(わいそう)』を出した。これらの経験をもとに『西洋雑誌』(1867)『中外新聞』(1868)を発行し、日本のジャーナリズム活動に先駆的役割を果たした。1868年(慶応4)3月開成所頭取(とうどり)となる。明治維新後、『中外新聞』は佐幕派とみなされ、発行禁止となる。1869年(明治2)3月から一時再刊したが、1870年廃刊。1869年7月大学少博士に任ぜられたが、10月免官となる。明治3年2月20日死去。
[有山輝雄]
『湖北社編・刊『柳河春三資料』全2冊(1985)』▽『小野秀雄稿『柳河春三』(『三代言論人集 1』所収・1962・時事通信社)』
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