オルガンティーノ(読み)おるがんてぃーの(英語表記)Gnecchi-Soldo Organtino

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルガンティーノ」の意味・わかりやすい解説

オルガンティーノ
おるがんてぃーの
Gnecchi-Soldo Organtino
(1530/1533―1609)

イエズス会士。イタリアのカスト・ディ・バルサビアに生まれ、1556年フェラーラでイエズス会司祭となった。1570年(元亀1)6月天草(熊本県)の志岐(しき)に上陸し、同年布教のために京都へ派遣、以後30年以上にわたって京都で活動を続け宇留岸伴天連(ウルガンバテレン)と愛称され親しまれた。織田信長厚遇を受け、安土(あづち)に土地を得てセミナリオ(小神学校)と司祭館を建て、京都にも南蛮(なんばん)寺(教会)を建築した。日本人の優秀さを認め、日本文化への順応主義を唱え、布教長カブラルと対立した。1605年(慶長10)長崎コレジオ(大神学校)に移り、1609年4月22日、長崎に没した。

[宮崎賢太郎 2018年2月16日]

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改訂新版 世界大百科事典 「オルガンティーノ」の意味・わかりやすい解説

オルガンティーノ
Gnecchi Soldo Organtino
生没年:1533-1609

イタリアのカスト・ディ・バルサビア出身のイエズス会宣教師。1556年にすでに司祭職にあり,のちイエズス会に入る。66年インド布教を命じられ,翌年ゴアに至る。70年(元亀1)6月布教長カブラルとともに天草の志岐に到着,ルイス・フロイス補佐のため畿内に派遣される。フロイスが九州に去った後は都地方の布教責任者を務め,被昇天の聖母教会(南蛮寺)を建て,76年(天正4)8月15日最初のミサささげた。織田信長の厚遇を得,80年安土に土地を賜って神学校(セミナリヨ)と教館Casaを建てた。83年豊臣秀吉から大坂城下に教会建設用地を付与された。87年の伴天連追放令施行後は小西行長の領内に隠れ,91年バリニャーノとともに秀吉に謁見後,再び都地方で公然と活動し〈ウルガン(宇留合無)伴天連〉として名声をはせ,排耶書にその名をとどめている。都地方の布教に30余年をささげ,長崎で死没
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百科事典マイペディア 「オルガンティーノ」の意味・わかりやすい解説

オルガンティーノ

イタリア人宣教師,イエズス会士。1570年F.カブラルと共に来日フロイスを補佐して布教した。織田信長の信任を受け,安土(あづち)に神学校(セミナリヨ),京都に教会(南蛮寺(なんばんじ))を設立。史書には〈ウルガン(宇留合無)伴天連〉の名で残る。
→関連項目宣教師

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「オルガンティーノ」の解説

オルガンティーノ
Gnecchi-Soldo Organtino

1533~1609.3.17

イタリア人イエズス会宣教師。1570年(元亀元)来日。フロイスを助けるために京都に派遣され,76年(天正4)フロイスが九州に転じたため都地方区の責任者となった。日本の諸事情を研究して理解を深め,「ウルガン伴天連(ばてれん)」として親しまれた。織田信長の親交を得て,76年京都南蛮寺を建立,80年安土セミナリヨを開設。78年荒木村重が信長に背いた際には,村重の配下の高山右近を説得し,教会の危機を救った。87年豊臣秀吉のバテレン追放令によって一時小西行長領の小豆島に隠れたが,その後も都地方区の責任者として布教に従事。晩年高齢と衰弱のため長崎に隠退し,同地で没。

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世界大百科事典(旧版)内のオルガンティーノの言及

【キリシタン】より

…畿内の諸領主と庶民は救霊を第一とした熱心な信者が多く,結城山城守忠正,高山父子,池田丹後守,小西父子等の武将が受洗し,彼らは畿内キリシタンの中核として教会を支え,70年(元亀1)以降の織田信長・豊臣秀吉時代に至るキリシタン興隆の礎となった。70年来日した布教長カブラルオルガンティーノを畿内に配し,同年および74年(天正2)に畿内巡察を行い信長に謁した。信長の政治的地位の上昇・確立に伴い教会勢力も増大し,77年3階建ての教会(南蛮堂,南蛮寺)が落成した。…

※「オルガンティーノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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