室内管弦楽団(読み)しつないかんげんがくだん(その他表記)chamber orchestra

改訂新版 世界大百科事典 「室内管弦楽団」の意味・わかりやすい解説

室内管弦楽団 (しつないかんげんがくだん)
chamber orchestra

小人数の奏者から成る演奏団体。〈管弦〉と訳されるが,実体弦楽器のみの編成,弦楽器チェンバロを加えた程度の編成の団体も多い。人数は一定しないが,弦楽器のみの場合の十数名から,管楽器を含む場合でも二十数名程度の団体が一般的である。バロック時代から,古典派初期までは,ほとんどこの程度の編成の団体がオーケストラと呼ばれていた。19世紀に入ってオーケストラはしだいに大型化し,19世紀末には巨大なものとなったが,20世紀に入ってから一種反動として室内管弦楽団が復活した。1800年以前の音楽は,作曲当時の演奏規模で演奏するのが理想であるという考え方に基づいて,古い時代の作品が室内管弦楽団のおもなレパートリーとなったが,20世紀の作曲家たちの中にも,いたずらに巨大化した編成による作品のみでなく,こうした小編成の緊密なアンサンブルによってのみできる表現に目を向けた人々が現れて,新しい作品が多く提供された。シェーンベルクの《室内交響曲》(1907),ブリテンの《シンプル・シンフォニー》(1925)等はその好例である。イ・ビルトゥオージ・ディ・ローマ通称〈ローマ合奏団〉),イ・ムジチ室内合奏団シュトゥットガルト室内合奏団ロンドンシンフォニエッタハンガリーのリスト室内管弦楽団,ザルツブルク・カメラータ・アカデミカ等がすぐれた演奏で知られる。

 また,第2次世界大戦後の一つの傾向として,古い作品を,作品成立当時の楽器(またはその複製品)を用いて演奏する試みが盛んになったが,室内管弦楽団の規模で古楽器を用いている団体には,コレギウム・アウレウム合奏団がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「室内管弦楽団」の意味・わかりやすい解説

室内管弦楽団
しつないかんげんがくだん
chamber orchestra

十数名から二十数名の奏者による小規模な管弦楽団。弦5部と通奏低音を基準とし,バロック時代の合奏曲と 20世紀の小編成の管弦楽曲をレパートリーとする。

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