室町時代の真言(しんごん)宗の僧。真言宗の教学史上屈指の学者で、南山(高野山(こうやさん))教学の大成者。字(あざな)は性厳房(しょうごんぼう)。藤原実光(ふじわらのさねみつ)(1202―1247)の子として京都に生まれる。17歳で出家し瑞厳(ずいごん)と称し、のちに高野山宝性院(ほうしょういん)の信弘(しんこう)に師事して宥快と改名。教相・事相(密教の教義面・修行面)の諸流を学び宝性院門主となり、『宝鏡鈔(ほうぎょうしょう)』を著して邪教立川流(たちかわりゅう)を反駁(はんばく)した。京都山科(やましな)の安祥寺(あんしょうじ)に法を受けて門主となる。このころ寿門長覚(じゅもんちょうがく)(1340―1416)について悉曇灌頂(しったんかんじょう)を受け研鑽(けんさん)に励むが、ある夜丹生津姫(にうつひめ)の霊感を身に受け、疑団たちまち氷解したという。門弟に宥信(ゆうしん)(?―1432)などがいる。著に『大日経口之疏鈔(だいにちきょうくちのしょしょう)』など多数ある。
[吉田宏晢 2017年10月19日]
(井野上眞弓)
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