家守(読み)ヤモリ

世界大百科事典 第2版の解説

やもり【家守】

日本近世において,主人不在の家屋敷を預かり,その管理・維持に携わる管理人のこと。家主(やぬし∥いえぬし),屋代(やしろ),留守居(るすい),大家(おおや)などとも呼ばれた。日本の近世社会は,家屋敷の所持者である家持を本来の正規の構成員として成立していたが,なんらかの事由で家屋敷の主人が長期にわたって不在となる場合,不在中の主人に委嘱され,家屋敷の管理・維持にあたるのが,家守の基本的性格である。このような主人不在の家屋敷は,おもに都市域,なかでも江戸,大坂,京都や諸国の城下町において顕著に見られた。

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大辞林 第三版の解説

やもり【家守】

家の番をすること。また、その人。
江戸時代、地主・家主に代わって、土地・家を管理し、地代・家賃を取り立て所有者に納める人。町人の待遇をされた。差配人。大屋。

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精選版 日本国語大辞典の解説

いえ‐もり いへ‥【家守】

〘名〙
① 家を守っている人。家の番人。
※和泉式部集(11C中)上「いづれの宮にか〈略〉かく書きていへもりに取らせておはしぬ」
② 貸家の持ち主。家主(いえぬし)。また、家主に代わる差配人。やもり。
雑俳・唐子おどり(1704‐16頃)「家守が支配の内の後家自慢」

や‐もり【家守】

〘名〙
① 家の番をすること。家屋を守ること。また、その人。〔文明本節用集(室町中)〕
② 江戸時代、主として町方で、地主・家主に代わってその所有地を管理し、地代・店賃(たなちん)を取り立て、自身番その他の町役を務めた者。差配人ともいう。また、借地人・借家人は、大家(おおや)・家主とも呼んだ。
浮世草子・好色万金丹(1694)四「二ケ月分の家賃滞けるを、家守(ヤモリ)の八兵衛が節臘敷(せつらうしく)せがむに」

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世界大百科事典内の家守の言及

【裏店】より

…したがってこのような裏店が密集した地区の人口密度はかなり高かった。江戸の場合,地主が屋敷地内に住む(家持または居付地主と呼ばれた)ことは少なく,多くは家守(やもり)(大家,家主ともいう)が屋敷地内に住居を構え,地代・店賃徴収を代行し,また裏店住人の人別改め(戸籍調べ)や町触(法令)通達などを行い,棒手振(ぼてふり)などの小商人,大工・左官などの職人,そして日雇いなどと呼ばれた下層単純労働者など,裏店住人の事実上の支配者となっていた。長屋【玉井 哲雄】。…

【町法】より

…江戸時代の都市の住民としての商工業者のうち,社会的に正規の町人として存在していたのは,家屋敷を所持し,その家屋敷の広狭に応じて町奉行所や惣町の諸費用およびその町限りの町費を負担する家持に限られ,住民の大部分を占めた地借(じがり)・店借(たながり)は町人身分として認められていなかった。そして家持が他町・他国住の不在地主の場合は,家持の代理として家作を管理する家守(やもり)(大家)が準町人として,家持とともに町共同体の構成員となり,町政の自治的運営が行われた。町内の家持中の合意の形で取り決められる町法は,町の成立事情,歴史的背景からくる慣習法の違いや,町の経済的機能のあり方などによってその内容を異にする。…

【町】より

…また一つの都市のなかでもちがいがある。江戸の中心部の町は数少ない地主が広大な町屋敷地を占有し,そこに家守(やもり)という管理人を置いて店借を支配しているという状況がみられ,一方,周辺の場末町ではわずかな土地しかもたない地主が多く,みずから家守を兼ねて店借を支配していた。店借は周辺の場末町に多く,60~70%に達するところがあった。…

※「家守」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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