…これが,町法改正,七分積金令と呼ばれるもので,以後幕末・維新期まで江戸の都市政策の根幹をなした。 幕府はこれに先だって,江戸の各町に1785年(天明5)から5年間の地代店賃(たなちん)上り高,町入用(ちよういりよう),地主収入等を書上げさせた。この結果,1年分の町入用は江戸全体で金15万5000両余に及ぶことがわかり,このうち3万7000両が節減可能とされた。…
…店請人は親類縁者とか同郷の出身者などが多く,家持だけでなく店借がなる場合もあった。店請は借家をする場合だけでなく,店借が店賃を支払えなくなったり,生活が極度に困窮したとき,その家族を引き取ることもあった。大都市での下層の住民生活は家族の労働が基礎となり,そのうえに店請人とか家守(大家)などによって保証されていたといってよい。…
…また負担の点からみれば,家持が担う屋敷地年貢(地子)や公権力や領主への役負担は免除され,また,共同体内の諸負担についても免除されたり,家持より軽減されたりしている。しかし,借家・店借が家持や地主に支払うところの店賃(家賃,宿賃)は,とくに零細な借家・店借などにとっては過重な負担となった。一方,家持・地主などは,こうした店賃収入を当該家屋敷の地子や役負担,共同体諸経費に充当するのを常とした。…
… 住民に店借層が多くなってきたところで,町の仕事は店借層を支配する家守が掌握するようになったことに象徴されるように,これまでの町の性格は変わってこざるをえなかった。町のいろいろな仕事の経費は地主,家持が負担したが,借家をもっている場合は毎月の店賃(たなちん)収入から支出された。問題は,店借が支払った店賃などで賄われていた町の経費であるにもかかわらず,その店借たちに還元されるものがあまりに少なかったことである。…
※「店賃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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