(読み)トラ

デジタル大辞泉 「寅」の意味・読み・例文・類語

とら【×寅】

十二支一つで、その3番目。
方角の名。東から北へ30度の方角。東北東
時刻の名。今の午前4時ごろ、およびその後の2時間、または午前4時前後の2時間。
1にあたる年や日。
陰暦1月の異称

いん【寅】[漢字項目]

人名用漢字] [音]イン(呉)(漢) [訓]とら
十二支の3番目。とら。「甲寅こういん・きのえとら
[名のり]つら・とも・のぶ・ふさ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寅」の意味・読み・例文・類語

とら【寅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 十二支の一つで、その第三番目。いん。
    1. [初出の実例]「ね うし とら う たつ み ひと夜ねてうしとらこそは思ひけめうきなたつみぞわびしかりける〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)物名・四二九)
  3. 年月日・方角・時刻に配して、その呼び名とするもの。
    1. (イ) にあたる年や月、また日。寅の日。
      1. [初出の実例]「正月寅月の寅の歳寅時むまれて」(出典:愚管抄(1220)六)
    2. (ロ) 東から北へ三〇度寄った方角。東北東。
      1. [初出の実例]「五の色の大なる雲、天に満(いは)み覆へり而て寅(トラノトコロ)闕たり」(出典:日本書紀(720)皇極二年正月(岩崎本室町時代訓))
    3. (ハ) 現在の午前四時頃。また、その前後二時間。一説に、その後二時間。寅の刻。寅の時。
      1. [初出の実例]「ここかしこ、尋ねありきて、とらひとつと申なり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
    4. (ニ) 正月の異称。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「寅」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 11画

(異体字)
16画

[字音] イン
[字訓] つつしむ・とら

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
矢+(きよう)。矢に両手を加え、矢がらの曲直を正す。〔説文〕十四下に「(ひん)なり」とあり、「ひざさら」の意とする。また「正、陽气動き、泉を去りて上出せんと欲するも、陰ほ彊(つよ)し。宀(ふか)くしてせず、下に寅するに象るなり」とあり、これは五行説によって説くものであろう。金文の〔陳侯因敦(ちんこういんしたい)〕に「侯、吉金を(いんせん)す」とあり、神に供えるときの儀礼をいう。

[訓義]
1. つつしむ、すすむ。
2. まこと、うやまう。
3. 矢がらを正す、弓引く。
4. 演に通じて、のぶ。
5. 十二支のとら。

[古辞書の訓]
名義抄〕寅 ツツシム 〔字鏡集〕寅 ツツシム・ウヤマフ・コハシ・ノブトラ

[語系]
寅・jien、演jyenは寅声。寅は、神事に用いる矢がらを正すので、つつしむ、伸ばすの意がある。inは(いんかつ)で「ため木」、木の曲直を正すもの。引jienは弓ひくこと。みな一系をなす語である。

[熟語]
寅畏・寅縁寅誼寅恭寅兄寅虔・寅好寅丈・寅正・寅生寅誠寅夕寅餞・寅弟・寅夜・寅僚
[下接語]
建寅・同寅

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「寅」の意味・わかりやすい解説


とら

十二支の第3番目。「いん」ともいい、十二支獣としてトラがあてられる。正月の異称として用いられるほか、寅の日には婚礼などを避ける風習があったが、これは、トラが日に1000里行って1000里戻るといわれていたことにより、出戻ることを忌むためであった。時刻としても用いられ、今日の午前4時を中心とした前後2時間を「寅の刻」「寅の時」といった。方角としては東から北へ30度寄った方向をいい、東北東にあたる。

[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

占い用語集 「寅」の解説

十二支の一つ。陽の木で、季節は春、月は2月、時間は3~5時、方位は東北東を表す。

出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android