(読み)カン

デジタル大辞泉 「寒」の意味・読み・例文・類語

かん【寒】[漢字項目]

[音]カン(漢) [訓]さむい
学習漢字]3年
さむい。さむさ。「寒気寒暑寒風寒冷悪寒おかん厳寒向寒春寒避寒防寒
さびしい。貧しい。「寒村貧寒
身震いする。ぞっとする。「寒心
一年のうち最も寒い時期の呼び名。「寒中小寒大寒
さむい時期の。冬の。「寒鴉かんあ寒菊
[名のり]さむ・ふゆ

かん【寒】

寒いこと。冬の寒さ。「海辺にを避ける」⇔
二十四節気小寒大寒の時期。暦の上で寒の入りから立春までの間。1月6日ごろから2月4日ごろまでの約30日間。「が明ける」 冬》

さむ【寒】

寒いこと。「おお、こ

さぶ【寒】

形容詞「さぶい」の語幹》寒いこと。感動表現に用いる。「おお、

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精選版 日本国語大辞典 「寒」の意味・読み・例文・類語

かん【寒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 寒いこと。寒さ。
    1. [初出の実例]「天時有運寒為暖、世事無期負且乗」(出典菅家文草(900頃)一・奉和安秀才代無名先生寄矜伐公子)
    2. 「身の上に衣無ければ寒を防ぐにすべなし」(出典:海道記(1223頃)序)
    3. [その他の文献]〔易経‐繋辞下〕
  3. 陰暦での季節の名。冬、立春までの約三〇日間をいう。一年中で最も寒い時期とされ、前半の一五日を小寒、後半の一五日を大寒とする。寒中。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「寒には人の足手までものびざる也」(出典:名語記(1275)六)

かん‐じ【寒】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「かんずる(寒)」の連用形名詞化 ) 寒さを感じること。また、寒さ。
    1. [初出の実例]「さてさて此の間は、かんじが強うなりましてござります」(出典:歌舞伎・御摂勧進帳(1773)五立切)
    2. 「袖が凍ってなりませぬわいな。それはきつい寒(カン)じでござるな」(出典:歌舞伎佐野常世誉免状(鉢の木)(1858)下)

さむ【寒】

  1. ( 形容詞「さむい」の語幹 ) 寒いこと。
    1. [初出の実例]「寒いはな。ちょっと温って聞う。ヲヲ、さむ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)

さぶ【寒】

  1. ( 形容詞「さぶい(寒)」の語幹 ) 寒いこと。
    1. [初出の実例]「ゑゑ、ぬれてさぶやな」(出典:狂言記・丼礑(1660))

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普及版 字通 「寒」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
12画

[字音] カン
[字訓] さむい・こごえる・まずしい

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+(もう)+人+冰。〔説文〕七下に「凍るなり」とし、「人の宀下に在るに從ふ。の上下にを爲すに從ふ。下に(冰)るなり」という。凍土の上に艸(草)をうち重ねて、寒冷の意を示した。金文字形は両艸と人の下に二横画をしるし、それは衽席(じんせき)の意であるらしい。人の生活の上に移して、すべて貧窮・冷酷・困難の意となる。

[訓義]
1. さむい、つめたい、こごえる、ひえる。
2. まずしい、さびしい、いやしい。
3. くるしい、きびしい。

[古辞書の訓]
和名抄 師に、は古與之毛乃(こよしもの)と讀む。此のには邇古與春(にこよす)と云ふ 〔名義抄 サムシ・ヒヤカニ・ススシ・イヤシ・ツクス・サユ・コヨシモノ・ニコヨス・ニコヨシ 〔字鏡集〕 カナシ・ココユ・ヒヤヤカニ・サユ・サムシ・ニコヤス・イヤシ・ツラヌ・ニコラカス・ススシ・コヨシモノ

[声系]
〔説文〕に声、の省声とするものに・蹇・・騫など七字があり、多く蹇難の意をもつ。この形のものには塞系のものもあるが、塞は呪具の工を塡塞して呪禁とするもので、とは形・声・義みな異なり、別系の字である。

[熟語]
・寒靄・寒衣・寒威・寒意・寒奥・寒雨・寒雲・寒影・寒栄・寒駅・寒煙・寒園・寒蜒・寒泓・寒屋・寒温・寒柯・寒家・寒餓・寒客・寒官・寒雁・寒・寒気・寒暉・寒乞・寒居・寒・寒郷・寒暁・寒衾・寒窘・寒禽・寒噤・寒吟・寒苦・寒窶寒懼・寒空・寒勁・寒徑・寒・寒閨・寒谿・寒月・寒欠・寒硯・寒暄・寒蹇・寒故・寒沍・寒更・寒郊・寒香・寒江・寒光・寒荒・寒谷・寒酷・寒骨・寒・寒斎・寒細・寒菜・寒歳・寒酸・寒山・寒士・寒・寒鴟・寒・寒寺・寒疾・寒日・寒舎・寒邪・寒儒・寒樹・寒縮・寒俊・寒杵・寒庶・寒渚・寒暑・寒松・寒商・寒鐘・寒条・寒城・寒色・寒食・寒燭・寒心・寒晨・寒人・寒水・寒悴・寒翠・寒声・寒砌・寒磧・寒泄・寒雪・寒泉・寒川・寒賤・寒霰・寒饌・寒・寒素・寒・寒・寒草・寒霜・寒窓・寒・寒族・寒粟・寒村・寒・寒餒・寒柝・寒・寒煖・寒地・寒竹・寒蜩・寒潮・寒砧・寒汀・寒天・寒点・寒渡・寒灯・寒熱・寒煤・寒・寒薄・寒微・寒鄙・寒冰・寒品・寒・寒風・寒服・寒氛・寒歩・寒房・寒・寒木・寒民・寒霧・寒盟・寒毛・寒門・寒夜・寒葉寒瘍寒膺・寒流・寒緑・寒林・寒冷・寒・寒劣・寒烈・寒鷺・寒陋・寒漏
[下接語]
寒・一寒・陰寒・悪寒・温寒・飢寒・寒・救寒・禦寒・暁寒・凝寒・苦寒・軽寒・劇寒・暄寒・厳寒・孤寒・向寒・江寒・恒寒・酷寒・極寒・歳寒・山寒・酸寒・残寒・歯寒・寒・時寒・春寒・初寒・小寒・峭寒・消寒・傷寒・凄寒・清寒・送寒・霜寒・大寒・耐寒・煖寒・地寒・天寒・嫩寒・薄寒・晩寒・避寒・微寒・氷寒・貧寒・風寒・辟寒・暮寒・防寒・猛寒・夜寒・余寒・隆寒・凌寒・涼寒

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒」の意味・わかりやすい解説


かん

暦のうえでは二十四節気のうち、小寒(1月6日~20日)と大寒(1月21日~2月4日)のそれぞれ15日ずつをあわせた30日間をいう。

 気象学上、気温の低極が現れるのはほぼ寒の期間にあたっており、寒は季節の一つの極相とみることができる。この期間は旧暦ではほぼ年初にあたり、古来の俗信として、年初にあたる寒の天候をみて、その年1年間の天候を占うようなことも行われてきた。すなわち、寒の30日を2.5日ずつの12に配分し、そのおのおのの期間が、後の各月の天候に対応するものとして天候が占われてきた。これを「寒試し」という。この期間は冬至を過ぎているので、日中の時間は緩やかではあるが、しだいに延びていく一陽来復の期間でもある。この期間が終わり2月5日ごろの立春になることを「寒が明ける」という。年によっては寒の期間が暖冬になることがあるが、このような年は、気温の低極が寒を過ぎてからの2月に現れることが少なくない。

根本順吉

寒の戻り

冬から春にかけての季節の推移を調べてみると、しだいに温暖になるのではなく、一進一退の寒暖の天候を繰り返しながら春になっていく。春先に一時、冬に戻ったような日が現れることがあるが、これを「寒の戻り」という。「寒の戻り」は毎年、不規則に現れる場合と、統計的におこりやすい日がほぼ決まっている場合(特異日という)とがあり、後者の例としては4月6日前後および4月23日ごろがあげられる。

 寒の戻りの現れたときの天気図を調べてみると、それは、大陸方面から乾いた寒冷な気団が移動性高気圧となって東進してくる場合である。逆にこのような気圧配置から「寒の戻り」を予想することができる。

[根本順吉]

寒の土用波

暦のうえの土用は1年中に4回あるが、そのうちの一つ、寒の土用は立春前の19日間、すなわち1月17日~2月4日までをいう。このころに非常に高い波が海岸に押し寄せることがあり、これを「寒の土用波」という。これは、冬季日本付近で発達した温帯低気圧によるものである。台風による土用波が台風来襲前に到来して台風の前兆になるのに対し、「寒の土用波」は低気圧が通過後に激しくなることが多く、その後の持続性も台風よりは長い。低気圧の進行速度と波速がほぼ一致するような場合は、次々に低気圧によってつくりだされる波が重なり、非常に高い土用波となることがある。

 寒は俳諧(はいかい)では冬の季語で、次のような用語がある。寒の入り、寒の内、小寒、大寒、寒雨、寒固(かんがため)、寒の水、寒雷、寒見舞、寒紅、寒詣(かんもうで)、寒念仏、寒餅(かんもち)、寒造(かんづくり)、寒垢離(かんごり)、寒卵(かんたまご)、寒稽古(かんげいこ)など。

[根本順吉]

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百科事典マイペディア 「寒」の意味・わかりやすい解説

寒【かん】

節気小寒大寒を合わせた期間。冬至後15日目に始まり(寒の入り,太陽暦で1月6日ごろ),前半が小寒,後半が大寒で,立春の前日(節分)で終わる(寒明け)約1ヵ月間。寒中には寒参り,寒垢離(かんごり)などの寒行や寒稽古が行われ,また寒餅(かんもち)等の習俗もある。
→関連項目寒参り

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