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対自的階級 たいじてきかいきゅうKlasse für sich

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

対自的階級
たいじてきかいきゅう
Klasse für sich

K.H.マルクスの用語。階級が他に対する利害の対立を意識し,組織のもとに団結して階級闘争を行うようになったとき,こうした階級的自覚に達した階級をいう。もっともこの場合注意を要することは,(1) 階級全体は必ずしも階級意識に目ざめ,階級組織をもった顕在的集団ではないこと,(2) ここで対自的階級呼ばれるものは,階級組織を中核とし,そこに結集した,組織された部分階級にすぎないこと,(3) したがって,階級の最低限即自的階級にあることなどである。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

対自的階級
たいじてきかいきゅう
Klasse fr sichドイツ語

マルクスの用語。即自的階級Klasse an sichドイツ語)に対比して使われる。マルクスによれば、近代社会の階級は労働者階級資本家階級とからなり、両者は相互に敵対しあう関係にあるとされている。労働者階級は当初はこの敵対的な関係を明瞭(めいりょう)に意識せず、自己の利害を感覚的につかみとり、主張するにとどまる。だが近代資本主義におけるさまざまな生活経験と、自己の利害に基づく多様な活動を通じて、労働者階級は自分たちの仲間としての類似性を認識し、自分たちの目標を達成するには、階級全体として団結することが必要であること、資本家階級とは非和解的に闘争せざるをえないことを、認めるようになる。
 こうして労働者階級は、近代社会における自分たちの階級としての位置と役割、歴史発展における自分たちの階級に課されている運命を、全体的、客観的に自覚するに至る。労働者としての意識がこのような水準に達したとき、労働者は対自的階級としての自己形成を遂げたとされる。そして、それ以前の、自分たちの利害を感覚的に、また断片的に主張しているにすぎない水準にあるとき、労働者は即自的階級をなしているにすぎないとされる。マルクスによれば、近代資本主義のもとでは、労働者の即自的階級から対自的階級への歩みは不可避な過程なのであって、それゆえに資本主義社会の変革は歴史的に必然なこととされるのである。[元島邦夫]
『K・マルクス著、高木佑一郎訳『哲学の貧困』(大月書店・国民文庫)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の対自的階級の言及

【階級意識】より

…階級に階級としての使命があり,したがって目標があることを自覚すれば,それは目標を実現するための方法や手段あるいは戦略や戦術について考え,実際に展望をもって行動するようになるであろう。マルクスとエンゲルスは,このように成熟した階級意識をもつものを対自的階級Klasse für sichと呼び,これにたいして階級意識形成の初期段階にあるものを即自的階級Klasse an sichと呼んだ。 しかし,いずれにしても現実の資本主義社会では〈階級意識〉は自生的に形成されない。…

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