日本大百科全書(ニッポニカ) 「小佐々」の意味・わかりやすい解説
小佐々
こさざ
長崎県北松浦(きたまつうら)郡にあった旧町名(小佐々町(ちょう))。現在は佐世保市(させぼし)の北西端部を占める。旧小佐々町は1950年(昭和25)町制施行。町名は、南北朝時代この地方を鎮定した小佐々氏に由来すると伝えられる。2006年(平成18)佐世保市に編入。旧町域は北松浦半島の西岸に位置する。海岸は著しいリアス海岸を示し、多くの湾入の湾奥部には平戸(ひらど)藩による小規模な干拓地がある。背後は第三紀層からなる山地で、明治時代から石炭採掘が盛んとなり、最盛期の1955年前後には人口1.6万の炭鉱町に成長したが、石炭不況による閉山が相次ぎ、1971年最後の炭鉱も閉山した。地域の中心臼ノ浦(うすのうら)は石炭積出し港として繁栄し、1931年(昭和6)佐世保鉄道の軽便鉄道(のちの国鉄臼ノ浦線)を通じたが、1971年には廃線となり、急激に衰微した。冷水(ひやみず)岳、大観(だいかん)山、金比羅(こんぴら)岳は、北九十九島(きたくじゅうくしま)を望む景観地で、山腹にはミカン園が広がり、海岸ではハマチ、クルマエビ、ウナギ、ノリの養殖が行われている。キンコ(ナマコをゆでて干したもの)とイリコはこの海岸の特産。
[石井泰義]