日本大百科全書(ニッポニカ) 「小値賀」の意味・わかりやすい解説
小値賀(町)
おぢか
長崎県西部、北松浦郡(きたまつうらぐん)にある町。1940年(昭和15)町制施行。『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』には佐世保(させぼ)市に属する宇久島(うくじま)とともに小近(おちか)として記載されている。町域は、小値賀島(12.26平方キロメートル)およびその属島の大島(0.71平方キロメートル)、黒島(0.24平方キロメートル)、斑島(まだらしま)(1.58平方キロメートル)、納島(のうしま)(0.65平方キロメートル)、六島(むしま)(0.69平方キロメートル)、野崎島(7.11平方キロメートル)や赤島、古路島(ころじま)、宇々島(ううじま)などを含む(面積は2022年時点)。町の中心は小値賀島南岸の笛吹(ふえふき)で町役場があり、小値賀港には佐世保港や博多港からのフェリーボートや高速船が寄港する。古くは海士(あま)によるアワビ、サザエを採取する集落であったが、現在は前方(まえかた)、斑浦とともに一本釣り、磯建網(いそたてあみ)を主とする。小値賀島と斑島間には斑大橋が架けられている。古来、牧牛が盛んで小値賀牛の名で知られ、無人の古路島は放牧の島として知られた。宇々島は大島の郷(ごう)有地で、江戸末期から大正初期ごろまで困窮者を移住させ、更生の機会を与えた相互扶助の島として有名。もともと冬季には杜氏(とうじ)などの出稼ぎがあったが、近年では周年出稼ぎや島外移住も多い。斑島玉石甌穴(おうけつ)は国指定天然記念物。面積25.50平方キロメートル、人口2288(2020)。
[石井泰義]
〔世界遺産の登録〕野崎島の集落跡は、2018年(平成30)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産として、世界遺産(文化遺産)に登録された。
[編集部 2018年9月19日]