精選版 日本国語大辞典 「小児喘息」の意味・読み・例文・類語
しょうに‐ぜんそく セウニ‥【小児喘息】
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一般には小児気管支喘息のことをさし,〈笛声喘鳴〉(ヒューヒュー,ゼロゼロという息づかい)を伴う呼吸困難を発作性に繰り返す病気である。1歳未満では非常に少ないが,1歳をすぎると急激に増加し,3歳までに約2/3が発症し,大部分(約9割)が学齢期までに発症する。小児喘息は治りやすい病気といわれ,8~15歳,すなわち思春期前後までに約半数が治癒する。難治化して成人喘息へ移行するのは約1割とみられている。この病気は日本では1955年ころから増加の傾向にあるが,その理由として,乳幼児期の人工栄養,早期離乳,化粧品などの異物との接触,大気汚染などが考えられている。
小児喘息の特徴はほとんどが純粋なアレルギーによるもので,アレルギーその他が複雑にからみあう成人喘息と多少異なる。したがって,他のアレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎,蕁麻疹(じんましん),アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,胃腸管アレルギー)がつぎつぎと出現したり(アレルギーの進展),また家族内にもアレルギー性疾患を有しているものが多い(3親等以内では約7割)。小児喘息を起こすアレルゲン(原因抗原)としては,乳児期では牛乳,離乳期では卵,オレンジ,幼児期ではチョコレート,そば,ピーナッツなど食事性抗原が多いことが特徴的であるが,年長になるにつれ,成人に多くみられる吸入抗原が増えていく。
定型的な喘息発作(発作性呼吸困難)はなんの前ぶれもなく突然やってくるものではなく,大多数のものでは前述の他のアレルギー性疾患がみられたり,風邪をひきやすかったり,以前に喘息性気管支炎などと診断されている場合が多い。喘息発作に際し,小児の場合,とくに注意しなければならないのは,意識状態がつかみにくいため重症化しやすいこと,また呼吸困難を起こす他の疾患(たとえば異物の誤嚥や急性細気管支炎など)との鑑別がむずかしいことである。治療は一般の気管支喘息と同様であるが,神経質な子どもが比較的多いので,家族の温かい心づかいがたいせつである。
→喘息
執筆者:伊藤 新作
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…気管支喘息とは,発作性の呼吸困難と喘鳴(呼吸時のヒューヒュー,ゼーゼーという音)を特徴とする呼吸器疾患である。
[歴史]
asthma(喘息)の語はギリシア語に由来し,〈あえぎ呼吸〉の意味である。喘息についての記載は,すでにヒッポクラテスによってなされており,その中で〈asthmaになったら怒りをしずめよ〉と心理的要因の重要性を説いている。今日,日本語として使われている〈喘息〉という文字は,中国最古の医書《素問》や《霊枢》(《黄帝内経》)にみることができる。…
※「小児喘息」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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