小野老(読み)オノノオユ

デジタル大辞泉 「小野老」の意味・読み・例文・類語

おの‐の‐おゆ〔をの‐〕【小野老】

[689ころ~737ころ]奈良時代の万葉歌人大宰大弐だざいのだいに

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精選版 日本国語大辞典 「小野老」の意味・読み・例文・類語

おの‐の‐おゆ【小野老】

  1. 万葉歌人。元正、聖武両朝につかえ、大宰小弐、のち大弐となる。従四位下大宰大弐天平九年(七三七)没(一説に天平一〇年没)。

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改訂新版 世界大百科事典 「小野老」の意味・わかりやすい解説

小野老 (おののおゆ)
生没年:?-737(天平9)

万葉歌人。遣唐副使石根(いわね)の父。右少弁を経て神亀末年大宰少弐として筑紫にあり,大伴旅人・山上憶良らとともにいわゆる〈筑紫歌壇〉の一員として万葉史上の新風をつくり出した。大弐昇格は733年正五位上昇叙の折か。従四位下大弐に昇り,没す。《万葉集》に短歌3首。望京の念をこめて都の栄華を歌った〈あをによし奈良の都は咲く花の薫(にお)ふがごとく今盛りなり〉が有名
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小野老」の意味・わかりやすい解説

小野老
おののおゆ
(?―737)

奈良時代の歌人。姓(かばね)は朝臣(あそみ)。719年(養老3)正月従(じゅ)五位下、720年10月右少弁となり、729年(天平1)3月従五位上(『続日本紀』)。このころ大宰少弐(だざいのしょうに)となって九州赴任(『万葉集』)。以後731年正月正五位下、733年3月正五位上、734年正月従四位下に昇進、737年6月大宰大弐在任中に没した。777年(宝亀8)の遣唐副使小野朝臣石根(いわね)の父(『続日本紀』)。天平(てんぴょう)初年大宰少弐時代の短歌3首が『万葉集』にみえる。「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」は、平城京盛容をたたえた作としてとくに有名。

[稲岡耕二]

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朝日日本歴史人物事典 「小野老」の解説

小野老

没年:天平9.6(737)
生年:生年不詳
奈良時代の官人で万葉歌人。石根の父。天平10(738)年を没年とする説あり。神亀年間(724~29)には大宰少弐として『万葉集』に歌をのこしている。神亀5年大宰大弐となり,香椎浦(福岡市)で「時つ風吹くべくなりぬ香椎潟潮干の浦に玉藻刈りてな」と詠んでいる。大宰大弐のままで死去。業績については,高橋牛養を南島(沖縄諸島)に遣わして,漂着船のためにそれぞれの島に島の名,船の泊所,給水所および本土からの距離を記した碑を建てたと『続日本紀』に記されている。このような老の仕事は当時,遣唐使は南海路を通ることが多かったこともあって,律令政府には南島への関心があったことの表れでもある。

(鬼頭清明)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小野老」の解説

小野老 おのの-おゆ

?-737 奈良時代の官吏。
小野石根(いわね)の父。養老3年(719)従五位下となり,翌年右少弁となる。大宰少弐(だざいのしょうに)として筑紫(つくし)におもむき,のち従四位下,大宰大弐(だいに)となった。大宰府在任中の歌が「万葉集」に3首おさめられている。天平(てんぴょう)9年6月11日死去。
【格言など】あをによし寧楽(なら)の京師(みやこ)は咲く花の薫(にほ)ふがごとく今盛りなり(「万葉集」)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小野老」の意味・わかりやすい解説

小野老
おののおゆ

[生]持統3(689)
[没]天平9(737).6.11.
奈良時代初期の官人。大宰大弐,従四位下にいたる。大宰大弐在任中,部下を南島に派遣して,島名などを記した牌 (看板) を立て,漂着船にそなえさせている。また「青丹よし奈良の都は咲く花の匂ふがごとく今盛りなり」の歌の作者。

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