(読み)とがる

精選版 日本国語大辞典の解説

とが・る【尖】

〘自ラ五(四)〙
① 先端が、細く鋭くなる。
※大日経治安二年点(1022)七「火輪を中の鋒と為す。端鋭(トカリ)て自ら相ひ合す」
※小学読本(1873)〈田中義廉〉二「狐は、犬に似たる獣にて平たき頭あり、其鼻と耳は、尖りて」
② (比喩的に) 鋭い感じを与える。
※黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一「先月仏蘭西から帰って来た彼(あれ)じゃな。中々筆が尖っとる」
③ 神経が鋭敏になる。感情的になる。とげとげしくなる。また、ふきげんになる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※百物語(1911)〈森鴎外〉「僕は飲食物の入物の形を気にする程、細かく尖(トガ)った神経を持ってはゐないのであった」

こすみ【尖】

〘名〙 囲碁で、自分の石から一路斜めの点に打つ形。こすみつけ。〔俚言集覧(1797頃)〕

とがら・す【尖】

〘他サ五(四)〙
① 先端をとがるようにする。先を細く鋭い形にする。
※浮世草子・武道張合大鑑(1709)三「米さしといふ壱尺八寸の竹のさき、鑓のごとくそぎ尖(トカ)らし」
② 鋭敏にする。過敏にする。
※初年兵江木の死(1920)〈細田民樹〉二「ズ、ズーンと魂を削ぎ尖(トガ)らして」
※闘牛(1949)〈井上靖〉「二・一ストの経緯(いきさつ)に神経を尖らして」
③ 感情的にさせる。とげとげしくさせる。「声をとがらす」

とがり【尖】

〘名〙 (動詞「とがる(尖)」の連用形の名詞化)
① とがること。物の先端が、細く鋭くなっていること。また、そのもの。
※歌謡・閑吟集(1518)「笠のとがりばかりがほのかに見え候」
※細君(1889)〈坪内逍遙〉二「痩せの見ゆる肩の尖り」
② 気持がとげとげしくなること。また、とげとげしい気持。
※松翁道話(1814‐46)三「ねたみそねみの、とがりばっかりねぢこんで」

こす・む【尖】

〘他マ四〙 囲碁で、まえに打った自分の石から一路斜めの点へ別の石を打つ。〔書言字考節用集(1717)〕
※浄瑠璃・右大将鎌倉実記(1724)三「定石知らぬ力碁に〈略〉渡り兼ねてぞこすみける」

とんがり【尖】

〘名〙 (動詞「とんがる(尖)」の連用形の名詞化) とがっていること。また、そのもの。とがり。
※赤痢(1909)〈石川啄木〉「その高い、高い天蓋(やね)の尖端(トンガリ)

とんがら・す【尖】

〘他サ五(四)〙 「とがらす(尖)」の俗な言い方。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉九「互に口先をとんがらして」

とんが・る【尖】

〘自ラ五(四)〙 「とがる(尖)」の変化した語。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「口を少し尖(トン)がらせ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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