愛知県北西部にあった旧市名(尾西市)。現在は一宮(いちのみや)市の南西部を占める一地区。木曽(きそ)川左岸の工業都市。旧尾西市は1955年(昭和30)起(おこし)町と朝日村が合併して市制施行。同年今伊勢(いまいせ)町の一部を編入。2005年(平成17)一宮市に編入。JR東海道本線尾張(おわり)一宮駅とはバスで結ばれ、名神高速道路が通過する。名古屋鉄道尾西線が通じ、東海北陸自動車道尾西インターチェンジがある。起は美濃(みの)路の宿場町で木曽川の渡船場として栄えた。本陣、脇(わき)本陣、披(ひらき)本陣、問屋場、旅籠(はたご)などすべての機能が整っていた。渡船場は上、中、下3か所あり、上は定渡船場で一般用、中は宮河戸(みやごうど)で伊勢用、下は船橋河戸といい将軍家・外国使節の通行に使われ、この場合は船橋を架した。
1956年濃尾(のうび)大橋(777.7メートル)が完成し、岐阜県羽島市と結んでいる。奥(おく)町とともに結城縞(ゆうきじま)の産地でもあったが、明治末期に毛織物の町に転換し、一宮、津島などとともに尾西毛織物工業地帯の一翼を担っていた。事業所の約60%余りが繊維関係の工場である。文化財に富田一里塚(国指定史跡)、起渡船場跡(県指定史跡)がある。また、別館の旧林家住宅(起宿脇本陣跡)が国の登録有形文化財となっている歴史民俗資料館や、当地出身の画家三岸節子を記念した三岸節子記念美術館がある。
[伊藤郷平]
『『尾西市史』全5巻(1969~1971・尾西市)』▽『『尾西市史』全10巻(1984~1998・尾西市)』
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