日本歴史地名大系 「一宮市」の解説 一宮市いちのみやし 面積:七八・九六平方キロ愛知県尾張平野の西部地方を代表する都市。織物工業と大社のある在郷町として古くから知られる。〔原始・古代〕市街地の東方、馬見塚(まみづか)集落の南に広がる畑の一角から大正一五年(一九二六)縄文晩期の土器が採集された。これは、この地方における最初の縄文文化の発見であった。土器棺(甕棺)をはじめ土器や各種の石器が広範囲から出土し、大きな集落のあったことを示した。大和(やまと)町宮地花池の下(みやじはないけのさが)り松(まつ)、千秋(ちあき)町佐野(さの)、萩原(はぎわら)町富田方の山中(とみだがたのやまなか)の各遺跡からも晩期の土器が発掘されているが、佐野遺跡には中期の土器も出土している。弥生時代の遺跡は元屋敷(もとやしき)・弥勒(みろく)(丹陽町)、馬見塚、海戸(かいど)・花(はな)ノ木(き)・平松(ひらまつ)・鹿取(かとり)・蕪池(かぶらいけ)(千秋町)、森下(もりした)(浅井町)、下渡(したわたり)(北方町)、福塚前(ふくづかまえ)・目久井(むくい)(今伊勢町)、北川田(きたかわだ)・八王寺(はちおうじ)(大和町)、山中・河田(かわだ)・二子(ふたご)・南木戸(みなみきど)・苗代(なわしろ)・中島(なかしま)(萩原町)などがあり、尾張平野の農耕文化のあり方を知る遺物がみられる。三世紀末頃から四世紀代の土器が出土しているが、その頃の古墳は発見されていない。 一宮市いちのみやし 2005年4月1日:一宮市が尾西市、葉栗郡木曾川町を編入⇒【木曾川町】愛知県:葉栗郡⇒【一宮市】愛知県⇒【尾西市】愛知県 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一宮市」の意味・わかりやすい解説 一宮〔市〕いちのみや 愛知県北西部,濃尾平野中央部にある市。木曾川の左岸に位置し,北と西で岐阜県に接する。 1921年市制。 1940年葉栗村,西成村の2村,1955年浅井町,奥町,萩原町,大和町の4町,丹陽村,北方村,千秋村の3村,今伊勢町の一部をそれぞれ編入。 2005年には尾西市と木曽川町を編入した。市名は尾張国の一ノ宮真清田 (ますみだ) 神社があったことに由来。神社の門前町を中心に市場町として発展。江戸時代には岐阜街道の宿駅となり,綿織物の定期市でにぎわった。起 (おこし) は美濃街道の宿場町。明治末期に毛織物業に転換。 1889年東海道本線の開通に伴い一躍機業の中心となった。現在でも毛織物工業が主体であるが,このほか綿,化繊織物の生産,縫製団地での既製服製造も行なわれている。農村部は木曾川中流の自然堤防地帯にあり,尾張園芸地帯の一部をなす。浮野には大規模な集団養鶏場もある。市内には,多くの文化財を有する古刹妙興寺,国指定史跡の富田一里塚,名勝・天然記念物の木曾川堤のサクラがある。 JR東海道本線,名古屋鉄道名古屋本線,尾西線が市の中心部で交差。名神高速道路,東海北陸自動車道のインターチェンジがあるほか,国道 22号線,155号線が通る。面積 113.82km2。人口 38万73(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by