尿路感染症治療剤(読み)ニョウロカンセンショウチリョウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「尿路感染症治療剤」の解説

尿路感染症治療剤

製品名
《イミキモド製剤》
ベセルナ(持田製薬
《スルファメトキサゾール・トリメトプリム製剤》
ダイフェン(鶴原製薬)
バクタ塩野義製薬
バクトラミン(中外製薬)

 尿路(腎盂じんう膀胱ぼうこう・尿道など)に感染した細菌などの病原微生物を死滅させたり、増殖を抑えたりする作用をもつ薬です。腎盂炎腎盂腎炎じんうじんえん膀胱炎尿道炎といった尿路感染症の治療に用いられます。


 イミキモド製剤は、尖圭コンジローマ(外性器または肛門周囲に限る)の治療に用いる外用剤です。インターフェロンαアルファなどの産生を促進させることで免疫応答を活性化し、間接的に抗ウイルス作用を発揮して疣贅ゆうぜいイボ)を消失させます。また、日光角化症(顔面または禿頭とくとう部に限る)の治療にも用いられます。


 スルファメトキサゾールトリメトプリム製剤は、2種類の抗菌剤を配合した薬で、抗菌力が強く、ほかの薬が無効の慢性(複雑性)膀胱炎や腎盂腎炎の治療に効果があります。また、呼吸器感染症及びニューモシスチス・カリニ肺炎にも使います。ただし、重い副作用をおこすことがあるので、ほかの薬が無効の場合か、使用できない場合にのみ用いられます。


①過敏症状(発疹ほっしんなどのアレルギー症状)、スルファメトキサゾールトリメトプリム製剤では高カリウム血症、低ナトリウム血症、横紋筋融解症、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、血小板減少症、無顆粒球症、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死えし融解症、皮膚粘膜眼症候群、薬剤性過敏症症候群、急性膵炎、偽膜性大腸炎などの血便をともなう大腸炎、重度の肝障害、急性腎障害、間質性腎炎、無菌性髄膜炎、末梢神経炎、間質性肺炎、PIE症候群、低血糖発作、イミキモド製剤では紅斑こうはん、びらん、表皮剥離、重篤な潰瘍かいよう、むくみ、排尿困難が現れることがあります。このような症状が現れたら、使用を止め、すぐ医師に相談してください。


肝臓腎臓・血液障害といった、検査をしなければわからない副作用がおこることがあります。指示された検査は、必ず受けてください。


③食欲不振、吐き気嘔吐おうと下痢、日光過敏症、血便、頭痛、ねむけ、発熱などが現れることがあります。


 スルファメトキサゾールトリメトプリム製剤では、口内炎、口角炎、発疹、黄疸おうだん、神経炎、めまい水疱すいほう紅斑、しびれ、だるさ、動悸どうき、ほてり、むくみなどがおこることがあります。


 イミキモド製剤では、むくみ、痛み、かゆみなどの塗布部位の皮膚障害、水ぶくれ亀裂きれつ、出血、硬結(しこり)、単純ヘルペス、頭痛、痔核の悪化、排便痛、股部白癬、めまい、発熱、筋肉痛、吐き気、下痢などがおこることがあります。このような症状がおこったら、医師に相談してください。


スルファメトキサゾールトリメトプリム製剤はいろいろな剤型があり、食後の服用が原則です。十分な水で服用してください。


 1日の使用回数と使用時間・1回の使用量については指示をきちんと守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。


 イミキモド製剤は、クリーム剤で、就寝前に塗布し、翌朝の起床後、塗布部を石鹸で洗い、水またはぬるま湯でよく流して薬をおとします。1日1回、週3回、塗布します。


②あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。


 スルファメトキサゾールトリメトプリム製剤は、この薬やサルファ剤で過敏症をおこしたことのある人、グルコース-6-リン酸脱水酵素欠乏の人、低出生体重児や新生児には使用できません。血液障害、肝障害、じん障害、気管支喘息ぜんそくといった病気のある人、全身状態の悪い人は、必ず医師に報告してください。


 イミキモド製剤では、尿道、腟内、子宮頸部、直腸及び肛門内などの部位には使用しないでください。また、紅斑、びらん、潰瘍などをおこすため、過量の使用はしないでください。また、性行為による相手への感染(皮膚障害)を防ぐため、治療中は性行為を避けてください。使用期間は原則16週間までです。この薬を使用するよう指示された場合は、医師の指示を厳重に守ってください。


スルファメトキサゾールトリメトプリム製剤は、妊婦、現在妊娠している可能性のある人には使用できません。あらかじめ医師に伝えてください。


④ほかの薬を使う必要があるとき、とくにスルファメトキサゾールトリメトプリム製剤では、血糖降下剤抗凝血剤などとの併用は、必ず医師に報告してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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