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屋形船(読み)やかたぶね

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

屋形船
やかたぶね

屋形を設けた。平安時代以降,商船,官船,輸送船などに種々の屋形をつけるのが普通となったが,一般には船の上に屋根をもった家形の小座敷を設けた遊び専用の川船をいう。江戸時代に入ると全盛期を迎え,小型の屋形船に対して,豪華な装飾を施した大型の船も現れたが,19世紀以後は衰退した。

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世界大百科事典 第2版の解説

やかたぶね【屋形船】

上に屋形を設けた船。〈御座船〉とも〈遊山船〉ともいった。平安時代以後川舟などに用いられたが,中世までは貴人専用であった。江戸時代に町人のあいだにも普及し,遊興に遊山船を雇う風が盛んになった。《和漢船用集》に〈凡遊山船諸国にあり,武州にても屋形舟と云,御座船と呼〉と見え,江戸隅田川や大坂淀川の屋形船には大型で豪奢なものもあった。漕具はさおを主とした。【石塚 尊俊】

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大辞林 第三版の解説

やかたぶね【屋形船】

屋形を設けた和船。江戸時代以降川遊びなどに用いられた。江戸では小型の屋根船に対して大型船に限って呼ばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

屋形船
やかたぶね

川遊びなどに用いられた屋形(家の形をした覆い)を据え付けた船。楼船(ろうせん)ともいう。古くは平安時代にさかのぼり、貴族の遊山(ゆさん)用の船、年貢輸送船、商船などに屋形をつけることが多かった。そのなかには舁据(かきすえ)屋形船とよばれる簡易な屋形もあり、平安以後も用途により絶えることなく続いた。しかし一般に屋形船といえば、江戸時代、花見、納涼、花火、月見の際に大名、豪商などが川面(かわも)に浮かべた豪華な遊覧船をさす。江戸では隅田川の両国橋付近が有名で、承応(じょうおう)・万治(まんじ)年間(1652~61)には大型船になった。九間一(くまいち)丸(熊市丸)は座敷九間(ま)に台所一間(ま)で、八間一(やまいち)丸(山市丸)は座敷八間に台所一間あった。「屋形船、山の這(は)い出る如(ごと)くなり」と川柳にもあり、船体は金具や漆で飾り、船室の襖絵(ふすまえ)に贅(ぜい)を尽くした。芸妓(げいぎ)を乗船させて酒宴を開き、ときには屋形船を二艘(そう)つないで、一艘を踊り船とした。武士は屋形に槍(やり)を立てかけて威勢を示し、大坂には二階造りの大屋形もあった。寛文(かんぶん)・延宝(えんぽう)年間(1661~81)が屋形船の全盛期であった。幕府は1682年(天和2)に船の寸法を定め大船を禁止し、その後も相次ぐ倹約令により、また簡易な屋根船(やねぶね)の新造によって屋形船の使用は減少した。[稲垣史生]

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