奈良県中央部、吉野郡天川(てんかわ)村にある山。大峰(おおみね)山脈北部の主峰。標高1719メートル。通称大峰山。役行者(えんのぎょうじゃ)が開き、聖宝(しょうぼう)が中興したと伝えられる大峰信仰の霊山として古くから崇(あが)められてきた。山頂に修験道(しゅげんどう)の根本道場で、蔵王権現(ざおうごんげん)を祀(まつ)る大峯山寺(おおみねさんじ)がある。付近に東ノ覗岩(のぞきいわ)、西ノ覗岩、鐘掛岩などの行場があり、現在も山頂への女人禁制が守られている。高山植物、鳥類、昆虫の宝庫といわれ、吉野熊野国立公園の一部。大峯山寺を通る大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)は世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれている。近畿日本鉄道吉野線下市口(しもいちぐち)駅から洞川(どろがわ)までバスの便があり、頂上まで約3時間を要する。
[菊地一郎]
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…紀伊山地の中央を南北にのびる脊梁山脈が大峰山脈で,広義の大峰山は大峰山脈の峰々をさし,狭義にはその北部の主峰山上ヶ岳(1719m)をさす。大峰山脈は北の吉野山から南の玉置山まで,南北約50kmの山地で,近畿地方の最高峰八剣(はつけん)山(1915m,仏経ヶ岳,八経ヶ岳ともいう)をはじめ,北から大天井ヶ岳(1439m),山上ヶ岳,大普賢岳(1780m),弥山(みせん)(1895m),釈迦ヶ岳(1800m),大日岳(1593m)などの峰々が連なり,大和アルプスともいわれる。…
…金峰山の境域は明確ではなく,およそ吉野山から大峰山にかけての山々を指すが,本来は青根ヶ峰(858m)を主峰とし,その信仰も神奈備(かんなび)信仰に発したと思われる。しかし忿怒相で火焰を背負う金剛蔵王権現が主神となるに及んで,山上蔵王堂が存在する山上ヶ岳が金峰山の主峰になったのである。吉野金峰山は奈良時代末より平安時代中期にかけて多くの修行者が入山し,吉野の愛染,岩倉を中心に多数の堂塔が造立され修験の一大勢力を形成した。…
※「山上ヶ岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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