岡本大八事件(読み)オカモトダイハチジケン

デジタル大辞泉 「岡本大八事件」の意味・読み・例文・類語

おかもとだいはち‐じけん〔をかもとダイハチ‐〕【岡本大八事件】

慶長17年(1612)幕閣本多正純与力キリシタン岡本大八が、肥前のキリシタン大名有馬晴信を偽って収賄し、大八火刑、晴信も死罪に処された事件江戸幕府の禁教政策のきっかけとなった。

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改訂新版 世界大百科事典 「岡本大八事件」の意味・わかりやすい解説

岡本大八事件 (おかもとだいはちじけん)

江戸初期,徳川家康の側近本多正純の与力でキリシタンの岡本大八(洗礼名パウロ)が,1610年1月(慶長14年12月)ポルトガル船ノッサ・セニョーラ・ダ・グラサ号(一名,マードレ・デ・デウス号)を爆沈させたキリシタン大名有馬晴信から,その恩賞斡旋にかこつけて多額の金品を詐取した事件。12年大八は下獄し晴信の長崎奉行長谷川左兵衛謀殺の企てを訴えて対決した。結局,晴信は改易・甲州配流後に死を賜り,大八は駿府安倍河原で火刑に処せられた。家康はこの事件を契機にしてキリスト教に対する禁圧の姿勢を明確にし,駿府,江戸,京都に禁教令を発令した。駿府家臣団のキリシタン検索を実施して直臣と侍女十数名を摘発・追放し,この旨を諸大名に通達した。これは単なる贈収賄事件にとどまらず,封建的主従関係の根幹である所領問題が取引の対象とされ,将軍の代理人ともいうべき長崎奉行が西国大名の謀殺の対象となった点で重要な意味を持っていた。
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百科事典マイペディア 「岡本大八事件」の意味・わかりやすい解説

岡本大八事件【おかもとだいはちじけん】

1609年ポルトガル船ノッサ・セニョーラ・ダ・グラサ号(一名マードレ・デ・デウス号)を長崎で撃沈した有馬晴信は,恩賞として旧領回復を望んだ。ために徳川家康側近の有力者本多正純の家臣岡本大八に近づき賄賂(わいろ)を贈った。事が露顕した大八は逆に晴信の長崎奉行暗殺未遂をあばき,1612年大八は火刑,晴信は除封された。両者ともキリシタンであったところから,禁教令発布の導火線となった。
→関連項目有馬氏

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世界大百科事典(旧版)内の岡本大八事件の言及

【有馬晴信】より

…キリシタン大名。岡本大八事件により改易。義貞の次男。…

※「岡本大八事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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