大正・昭和期の挿絵画家
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
挿絵画家。東京に生まれる。木版摺師(すりし)の伯父の感化を受けて大衆的な絵画に興味をもち、少年のころから独学で絵を学ぶ。20歳ごろから挿絵画家の生活に入るが、関東大震災(1923)後、一時大阪に移住、1926年(大正15)より『大阪毎日新聞』に連載の吉川英治作『鳴門秘帖(なるとひちょう)』の挿絵を担当して、一躍人気画家となった。線描の美しい官能的な女性画像を得意とし、大衆娯楽雑誌の表紙を飾ったほか、新聞や雑誌の小説(とくに大衆的な時代小説)に、いわゆる専太郎独特の挿絵を提供し、幅広い愛好者の支持を集めた。かたわら本格的な日本画も描き、展覧会にも出品した。
[小林 忠]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
… 大正末期から昭和初期にかけての〈挿絵の黄金時代〉は,新聞・雑誌メディアの大衆化,多様化とともに,こうした挿絵の芸術性が高められたことを背景としており,1935年には《名作挿画全集》が編まれるまでに至った。邦枝完二《お伝地獄》《おせん》の小村雪岱(1887‐1940),吉川英治《鳴門秘帖》および大仏次郎《赤穂浪士》の岩田専太郎(1901‐74),永井荷風《濹東綺譚》の木村荘八はじめ,太田三郎,田中良,河野通勢,小田富弥,山川秀峰,中村貞以,中村岳陵,林唯一,小林秀恒,志村立美,堂本印象,矢野橋村,藤田嗣治,佐野繁次郎,宮本三郎,小出楢重ら,日本画家,洋画家,挿絵専門家が入り乱れて活躍することになる。また文学のジャンルも多様化し,〈探偵小説〉が大正末からブームを興すと,《新青年》を中心に,竹中英太郎,茂田井武,横山隆一,松野一夫,吉田貫三郎らが筆をふるった。…
※「岩田専太郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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