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崔済愚 さいせいぐCh'oe Cheu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

崔済愚
さいせいぐ
Ch'oe Cheu

[生]純祖24(1824)
[没]高宗1(1864).大邱
朝鮮,東学の創始者。号は水雲,水雲斎。幼名は福述。慶尚北道慶州市の人。没落ヤンバン (両班) の出身で,20歳頃求道のため全国放浪の旅に出,国政の腐敗や,迫り来る欧米列強の侵入に対する民衆の不安を救済するため,哲宗 11 (1860) 年,東学を創始した。東学は西学 (キリスト) に対して命名されたもので,このとき中国では太平天国の乱や英仏の侵入などがあり,彼は国内のキリスト教を欧米侵入の先兵とみた。そのため,彼はキリスト教に対抗するため,朝鮮の民間信仰 (特に済病長生) を基礎に,儒,仏,仙3教の長所を取入れ,「人すなわち天」を基本思想とした。また反封建,反侵略の立場に立つことにより,広範な階層に浸透し,たちまち慶尚道一帯に広まった。崔済愚は教勢拡大に伴い各地に接所を設け,接主をおいて,その地方の教徒を統率させた。政府は東学を邪学として,同 14年崔済愚を逮捕,翌年3月,邪道乱正の罪で大邱で処刑した。のち高宗 30 (93) 年彼の冤罪を晴らすことを嘆願する運動が起り,これが翌年の甲午農民戦争の契機となった。著書に『東経大全』『竜潭遺詞』がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

さいせいぐ【崔済愚 Ch‘oe Che‐u】

1824‐64
朝鮮,李朝末期の宗教,東学の創始者。号は水雲斎。慶尚北道慶州の人。没落両班(ヤンバン)の出身で,若くして父母に死別し辛酸をなめた。のちに木綿の行商で全国各地を歩きながら,求道の生活を続けたといわれる。1860年,天の啓示を受け,儒・仏・仙教と民間信仰を融合・発展させた独自の宗教として,東学を創教した。〈至気今至,願為大降,侍天主造化定,永世不忘万事知〉という21字の呪文を口誦して修養すれば,人は天に感応して融合・一体化し,〈地上天国〉が実現できるとするものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

崔済愚
さいせいぐ
(1824―1864)

朝鮮の宗教家、東学創始者。号は水雲。慶州の没落両班(ヤンバン)の出身で、漢学を学び、6歳と16歳で母と父に死別し生活に困窮した。崔は個人的境遇と、当時の朝鮮の社会的状況に絶望して各地を求道行脚(ぐどうあんぎゃ)し、1860年に東学を創始した。東学は朝鮮の民間信仰と儒・仏・仙を参酌したもので、21字の呪文(じゅもん)を唱え、紙片の霊符を焼いた灰を飲み、剣舞などの修行をすれば、済病長生と、ひいては生活に苦しむ民衆を救済し、欧米の侵攻を撃退して地上天国を実現させるという。東学は南部朝鮮の農民に急速に広まり、社会問題となった。当時の朝鮮では儒教以外は邪教として禁止されていたので、東学は弾圧され、崔は人心を惑わす罪で、64年に大邱(たいきゅう)で死刑に処せられた。東学はその後も非合法化されていたにもかかわらず、各地に広まっていった。現在では天道教となっている。崔の著作は『東経大全(典)』(漢文)と『龍潭遺詞(りゅうたんいし)』(朝鮮文)に収められている。[朴 宗 根]
『呉知泳著、梶村秀樹訳『東学史』(平凡社・東洋文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の崔済愚の言及

【東学】より

…19世紀中葉の朝鮮では,各地に民乱が激発するなど社会不安が増大し,西欧列強の侵略に対する警戒心もアロー戦争(第2次アヘン戦争)での英仏軍の北京占領によって頂点に達した。慶州出身の崔済愚(さいせいぐ)は1860年,こうした内外の危機をのりこえる〈保国安民〉の策として,民間信仰を基礎に儒教,仏教,仙教を取り入れた独自の宗教,東学を創始した。東学とは西学(キリスト教)に対決する東方すなわち朝鮮の学を意味し,欧米人の侵入に備えて剣舞を奨励するなど民族的な自覚の高まりを背景としていた。…

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