嵯峨の秋(読み)さがのあき

精選版 日本国語大辞典 「嵯峨の秋」の意味・読み・例文・類語

さがのあき【嵯峨の秋】

  1. 箏曲生田流。明治初め、大阪の菊末検校が作曲歌詞は、「平家物語」の源仲国小督局(こごうのつぼね)嵯峨の秋の夜に尋ねる部分からとる。高低調子で合奏する純箏曲で、明治前半期の新曲代表作

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「嵯峨の秋」の意味・わかりやすい解説

嵯峨の秋
さがのあき

生田(いくた)流箏曲(そうきょく)の曲名。作詞者不明、作曲は大阪の菊末検校(きくすえけんぎょう)で、明治初期の作品。『平家物語』の「小督(こごう)」から題材をとり、秋の月の明るい晩に、源仲国が天皇の命により、もの寂しい嵯峨野(さがの)へ小督の局(つぼね)を訪ねる場面を歌っている。曲は前唄(まえうた)―手事(てごと)―後唄(あとうた)―短い後奏で構成され、高低の2面の箏(こと)を使い、全体に器楽性を重視している点が特色である。同じ題材を山田検校が作曲した『小督の曲』とは趣(おもむき)がかなり異なる。

[茂手木潔子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「嵯峨の秋」の意味・わかりやすい解説

嵯峨の秋
さがのあき

箏曲の曲名。手事物形式による明治新曲。高低2部合奏による。菊末勾当が明治1年頃に作曲した。詞章は『平家物語』巻六の小督 (こごう) の物語を素材とし,嵯峨野の隠れ家から,小督のつま弾く『想夫恋』の曲が漏れ聞こえてくる場面を描いたもの。3段から成る手事においては,本手と替手の掛合,緩急の変化など,器楽性が十分に発揮されている。本手,替手ともに特殊な調弦が使われ,本手の調弦は想夫恋調子などと呼ばれる。菊原琴治らの補作した前弾きをつけることもある。小品ながら名曲として演奏される機会が多い。

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