工業標準化法(読み)コウギョウヒョウジュンカホウ

デジタル大辞泉 「工業標準化法」の意味・読み・例文・類語

こうぎょうひょうじゅんか‐ほう〔コウゲフヘウジユンクワハフ〕【工業標準化法】

産業標準化法旧称

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改訂新版 世界大百科事典 「工業標準化法」の意味・わかりやすい解説

工業標準化法 (こうぎょうひょうじゅんかほう)

国が鉱工業製品について,その種類,型式形状寸法,構造,装備,品質等を,統一ないしは単純化するために基準を策定し,それを促進することによって,鉱工業品の品質改善,生産能率の増進合理化,取引の単純公正化,使用や消費の合理化を図るための法律(1949公布)。鉱工業製品の等級,成分,性能,耐久度,安全度,生産方法,設計方法,製図方法,使用方法,原単位包装の種類や方法,試験や分析の方法,技術に関する用語略語記号,符号等々のほか,建築物等の設計・安全条件等も対象となる。製品のなんたるかを問わず規格の設定,統一化は,工業製品の大量生産にとって不可欠の前提であり,それによって品質の向上や消費の拡大も期待しうる。それゆえ,19世紀以来,先進資本主義国では標準規格の設定,普及,統一を図るために,まず私的に,のちに国も加わって多大な努力が払われてきた。日本でも1921年に官制による工業品規格統一調査会が設置され,日本標準規格(JES)が実施されたことに始まり,第2次大戦終了までは,主として軍需品との関係で臨時日本標準規格や日本航空機規格などの規格化が実施された。

 戦後,本法により従来のJESを日本工業規格JIS(ジス))にかえ,またその範囲を拡大した。標準化にはその設定時期や方法等に関し各種の利害が複雑にからむため,法は大臣の諮問および調査の機関として委員30人以内で組織される日本工業標準調査会を置き,さらに必要あるときは利害関係人の意見を公聴会等で聞くなどの制度を設けている。主務大臣が許可した場合には,製造業者が自己の製品が規格に適合するものである旨を示すJISマークをつけることができるが,これは,建築基準法で見られるようにとくに法定して利用を強制する場合は別として,一般には,法的に利用を強制する制度ではない。なお80年に,諸国間で規格・検査手続・認証制度の制定,運用が国際貿易の不当な障害とならないことを確保するためのGATT(ガツト)スタンダード・コードを批准したこととの関係で,外国の製造業者もJISマーク制度を利用できるように法改正がなされた。
JIS
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「工業標準化法」の意味・わかりやすい解説

工業標準化法
こうぎょうひょうじゅんかほう

工業製品の規格,およびその生産過程の諸要因を,全国的に統一,単純化するために制定された法律。昭和 24年法律 185号。その基準を「工業標準」と呼び,工業標準化を促進することによって鉱工業品の品質の改善,生産能率の増進,生産の合理化や取引の単純公正化,あるいは消費の合理化を進め福祉増進に寄与することを主目的にしている。統一,単一化する要因としては鉱工業品の種類,型式,形状,寸法,構造,装備,品質,等級,成分,性能,耐久度,安全度など広範囲に及び,また生産や設計の方法,使用方法なども工業標準化の対象となる。さらに包装や商品試験の方法や内容,技術用語や記号の統一も工業標準化活動のなかに含まれている。経済産業省所管の独立行政法人産業技術総合研究所の日本工業標準調査会で制定された工業標準は,日本工業規格JISと呼ばれる。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「工業標準化法」の解説

工業標準化法

1949年に鉱工業の品質改善や生産の合理化の目的で制定された法律のこと。製品の種類、材料、形状、品質、寸法などを標準化することで、品質の安定と生産効率の向上が図られている。この法案を元に、統一された規格が日本工業規格(JIS)にあたる。JISには用語や単位を定める「基本規格」と、寸法や品質を定める「製品規格」の2種類がある。これまで国が行なっていた認証業務を民間にも開放、基準も変更するなどして、ISOが設定する国際標準規格などにも対応した、新たな日本の標準化作業への移行が計られている。

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世界大百科事典(旧版)内の工業標準化法の言及

【科学技術政策】より

…48年商工省の外局として12の試験研究機関を集めて工業技術庁が設置され,民間の研究助成を含め所掌の技術行政を進めることとした。また49年には工業標準化法を制定してJIS(ジス)(日本工業規格)を決定し,生産・消費の合理化を図った。一方,科学技術行政を総合的に推進する行政機関を設置しようとする動きが国会,産業界を通じて高まって,原子力開発発足と相まって,関係機関を統合して科学技術庁の新設(1956)となった。…

※「工業標準化法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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