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布川事件 ふかわじけん

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知恵蔵2015の解説

布川事件

茨城県利根町布川で1967年8月、大工の男性(当時62歳)が自宅で殺された。茨城県警は80人体制で捜査を進め4名を別件で逮捕したが、事件に関与した証拠は得られなかった。捜査が手詰まりになる中、県警は桜井昌司さんと杉山卓男さんを別件逮捕。警察の留置場(代用監獄)での長時間に及ぶ取り調べの末、虚偽の「自白」を引き出し、検察は物証がないまま起訴した。
公判で桜井さんらは無実を訴えたが、70年、一審で無期懲役判決を受け、78年、最高裁で確定した。弁護側による第1次再審請求は認められなかったが、2001年、第2次再審請求を申し立て、05年、水戸地裁土浦支部が再審開始を決定。検察は争ったが、09年12月15日の最高裁決定で再審開始が決まった。
有罪から無罪へ司法判断が変わった決め手は、有罪確定後に検察が開示した証拠だった。それは、(1)近所の女性の目撃証言、(2)残された毛髪が2人のものではないという鑑定書、(3)取り調べの録音テープ。検察は無罪を示唆する証拠を隠したまま、桜井さんらを起訴していたことになる。
弁護側の鑑定で、録音テープにも編集の跡があることが分かり、高裁決定は「自白は取調官の誘導をうかがわせる」と指摘。当初は容疑を否認していた2人を、警察から独立して運営される拘置所から、警察署内の留置場に逆送して「自白」を得た経緯も、高裁は「虚偽の自白を誘発しやすい環境に置いた」と批判した。
同じく昨年、再審が始まった足利事件でも、無実の人に「私がやった」と言わせた警察での取調べが批判されている。布川事件、足利事件で再審を求めてきた日本弁護士連合会は、「虚偽自白を生み出し、不法な取調べの温床となっている代用監獄の廃止、取調べの可視化、検察官手持ち証拠の全面開示など、冤罪を防止するための制度改革」を訴えており、両事件の再審は、民主党の公約にも入っている「取調べ可視化」への流れを加速しそうだ。また、警察情報に依拠し、無実の人を犯人扱いした報道の在り方も、マスコミ内外で問い直されている。

(北健一  ジャーナリスト / 2010年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

布川事件

1967年8月、大工の玉村象天(しょうてん)さん(当時62)が自宅で絞殺され、現金が奪われた強盗殺人事件。近くに住んでいた桜井さんと杉山さんが強盗殺人罪で起訴された。78年に無期懲役が確定。96年に仮釈放された。2001年の2度目の再審請求を受け、水戸地裁土浦支部が05年に再審開始を決定。東京高裁、最高裁も決定を支持し、再審公判が10年7月から始まった。

(2011-05-25 朝日新聞 朝刊 1社会)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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