帛書(読み)ハクショ(その他表記)bó shū

デジタル大辞泉 「帛書」の意味・読み・例文・類語

はく‐しょ【×帛書】

絹布に書いた手紙。また、文字の書いてある絹布。

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精選版 日本国語大辞典 「帛書」の意味・読み・例文・類語

はく‐しょ【帛書】

  1. 〘 名詞 〙 文字の書いてあるうすぎぬ。また、うすぎぬに書いた手紙。
    1. [初出の実例]「帛書誰係足、黄口自衝尾」(出典菅家文草(900頃)一・九日侍宴、同賦鴻雁来賓)
    2. [その他の文献]〔漢書‐蘇武伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「帛書」の意味・わかりやすい解説

帛書 (はくしょ)
bó shū

中国で帛(絹布)に書かれた書をいう。紙が発明される以前の書写材料としては古くは竹や木の札(簡牘(かんとく))が多く用いられてきたが,帛もその一つであった。現存する帛書の古いものとしては,1934年に湖南省長沙市東郊の戦国墓で発見された楚の帛書がある。彩色の絵入りで,宇宙秩序の神話的起源や人間の社会行動の吉凶を記した神秘的なものであるが,1973年には同じ長沙の馬王堆(まおうたい)漢墓の3号墓から帛に書かれた書籍が大量に発見された。墓葬の年代は前168年で,書籍は《老子》《周易》をはじめ,《戦国策》や《春秋左氏伝》に関係のある史書,天文星占書,相馬書,医書など全部で12万字にのぼる。0.7~0.8cm間隔の罫は簡牘の幅に相当し,帛書は罫をひくことによって簡牘を並べたかっこうになり,書籍でいえば上製本にあたる。なお同墓からは帛の素材を活かした3種の地図が発見されている。実見しうる中国最古の地図であるが,後世のものと比べて精度や内容のいずれの点でも遜色がなく,地図作製技術の水準の高さを示している。
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普及版 字通 「帛書」の読み・字形・画数・意味

【帛書】はくしよ

絹に書いた文書馬王堆漢墓より漢の帛書が多く出土している。〔史記、封禅書〕齊人少、鬼の方を以て上(しやう)(武帝)に見(まみ)ゆ。~乃ち帛書を爲(つく)りて以て牛に(くら)はしめ、~此の牛の腹中に奇りと曰ふ。してるに書を得たり。

字通「帛」の項目を見る

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図書館情報学用語辞典 第5版 「帛書」の解説

帛書

はくしょ」と読む.絹布に書かれた書物古代に紙の発明以前,書写の材料として絹が用いられるようになり,墨で描くのに筆が一般に用いられた.簡策竹簡木簡)はかさばって重く,携帯に不便であったので,それに代わるものとして登場したが,絹布は値段が高く,書写の材料としては不適当であった.その遺品は西域地方の古墳から発見されており,1972年には,湖南省長沙の馬王堆から『戦国策』や老子のおびただしい帛書が出現した.

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世界大百科事典(旧版)内の帛書の言及

【紙】より

…現在,漢代の竹簡,木簡が中国本土はもとより新疆ウイグル自治区などの辺境で多数発見されているが,漢代になると白絹を書写の材料とすることが盛行した。白絹に文字や絵を書いたものを〈帛書〉〈帛画〉と呼んでいる。竹簡,木簡類は1片に狭いものでは1行,広いものでも数行しか書けず,1冊の書物を写すことになると多数の簡を皮紐でしばったが,重くて携帯に不便であり,披閲も容易でなかった。…

※「帛書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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