簡牘(読み)カンドク(英語表記)jiǎn dú

デジタル大辞泉 「簡牘」の意味・読み・例文・類語

かん‐どく【簡×牘/×竿×牘】

《「かんとく」とも。「簡」は竹の札、「牘」は木の札。昔、紙のなかったころ文字を書き付けたところから》
手紙書簡簡札かんさつ尺牘せきとく
文書書き物書札牘書とくしょ
「その―を読むにあらざれば」〈中村訳・西国立志編

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改訂新版 世界大百科事典 「簡牘」の意味・わかりやすい解説

簡牘 (かんとく)
jiǎn dú

中国で紙が普及する以前に用いられた書写材料。竹のふだを竹簡,木のふだを木牘といい,両者をあわせて簡牘と呼ぶ。遺物としては戦国(前4世紀)から晋代(後4世紀)まであるが,漢代のものが圧倒的に多い。標準的な形は漢の例でいうと,長さ約23cm(漢の1尺),幅1~2cm,厚さ2~3mmの細長いふだである。この1枚には1行で40字,2行で80字程度の文字が収まり,それ以上の長文になると,簡牘を並べてすだれのように麻や皮の紐でつなぎ合わす方法がとられた。これを冊と呼ぶ。そのほか形では長さ2尺のものを檄(げき),3尺を槧(ざん),多面体のものを觚(こ)といい,また用途に応じて符(証明書)とかけい)(付け札)といった呼称があった。また経書は2尺4寸,諸子の書は1尺2寸という規定のあったことも遺物によって実証されている。今世紀の前半は敦煌や居延など辺境地帯で発見されていたが,解放後は内郡各地から,とくに書籍類が多数発見されて学界の注目をあつめている。
木簡
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普及版 字通 「簡牘」の読み・字形・画数・意味

【簡牘】かんとく

かきもの。文章。〔北史、李元護伝〕少(わか)くして武力り。~將の用を以て自らすと雖も、然れども亦た頗(すこ)ぶるを覽、牘にふ。

字通「簡」の項目を見る

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「簡牘」の解説

簡牘(かんとく)

木簡(もっかん)・竹簡(ちくかん)

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世界大百科事典(旧版)内の簡牘の言及

【江陵】より

…現在までのところ竹簡の遺物としては最古に属し,墨書された2000余字は楚の文字研究には欠かせない一等資料である。また73年以後には紀南城内の鳳凰山一帯で多数の漢墓が発掘され,8号,9号,10号の3墓からは総計434枚の簡牘(かんとく)が発見された。墓中から出土する簡牘はほとんど書籍かもしくは副葬品の品名と数量を記したいわゆる遣策(けんさく)のいずれかであるが,10号墓からは郷村の戸口や田土の数,徭役や徴税の記録と考えられる内容のものが含まれており,史料としてたいへん貴重である。…

【木簡】より

…冊の例でもわかるように,漢字には木簡に関する文字が多くあり,それだけ概念が発達していたことを示す。簡は本来竹製の〈ふだ〉を意味し,木製は牘(とく)や札で表記し,竹簡・木牘の意味で簡牘というのが本来の呼称である。漢簡では,漢の1尺に当たる約23cm,幅1cmのものが標準で,2尺のものを檄(げき),3尺のものを槧(ざん)といい,2行書く幅のものを両行,書く面を3面以上作ったものを觚(こ)と呼ぶ。…

※「簡牘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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