日本大百科全書(ニッポニカ) 「帝国在郷軍人会」の意味・わかりやすい解説
帝国在郷軍人会
ていこくざいごうぐんじんかい
1910年(明治43)11月3日、各地に組織されていた在郷軍人団体を統合して設立された在郷軍人の全国的な統一組織。初代総裁は伏見宮貞愛(ふしみのみやさだなる)親王。日露戦争後の軍制改革に重要な役割を果たした田中義一(ぎいち)などが設立に努力した。軍隊教育の復習や相互扶助などを目的にし、軍による国民支配の手段として国民に対する教化や統制を進めた。当初、陸軍のみの組織であったが、14年(大正3)に海軍も合流。会員数は約300万と称され、連隊区ごとに支部、郡市単位に連合分会、町村単位に分会が設けられ、機関誌として『戦友』『我が家』などを発行。20年代以降、軍国主義や戦争遂行体制協力のための社会的・思想的運動を広げ、とくに、35年(昭和10)に「天皇機関説」排撃運動を右翼勢力とともに進めて、国体明徴運動を展開。翌年帝国在郷軍人会令によって勅令団体になった。敗戦による軍国主義追放により46年に解散。
[遠藤芳信]