常山の蛇勢(読み)ジョウザンノダセイ

デジタル大辞泉 「常山の蛇勢」の意味・読み・例文・類語

常山じょうざん蛇勢だせい

常山にすむ蛇は、首を打たれれば尾が助け、尾を打たれれば首が、胴を打たれれば首と尾とが一致して助けたという、「孫子」九地の故事から》
先陣後陣左翼右翼が相応じて攻撃防御に協力し、敵に乗ずるすきを与えないような陣法
文章で、首尾照応して各部分がすきなく、叙述が引き締まっていること。

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精選版 日本国語大辞典 「常山の蛇勢」の意味・読み・例文・類語

じょうざん【常山】 の 蛇勢(だせい)

  1. ( 常山[ 一 ]に住む率然という両頭のヘビは、首を打たれれば尾が助け、尾を打たれれば首が助け、胴を打たれれば、首・尾ともに助けたという「孫子‐九地篇」の故事から )
  2. 先陣と後陣、左翼と右翼などが相互に連絡し、攻撃にも防御にも助け合う陣法。
    1. [初出の実例]「露国の形をみれば、已に欧洲三分の二、亜細亜の半を有して、北米に跨り、陰陰として我日本は、其常山蛇勢の中衝にあるが如し」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉四)
    2. [その他の文献]〔晉書‐桓温伝〕
  3. 物事、特に文章の前後が緊密に照応し、首尾が一貫している状態をいう。

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故事成語を知る辞典 「常山の蛇勢」の解説

常山の蛇勢

複数のものが緊密に連携し合って、隙のない状態を作り出すことのたとえ。また、文章などの各部分が、緊密に関係してできあがっていることのたとえ。

[使用例] 冒頭もなく結論もなく、常山の蛇の首尾ことごとく動くが如く、その一段、一節を切り取るも完全の意味を有し[山路愛山*明治文学史|1893]

[由来] 「孫子―九地」に載っているエピソードから。中国の「常山(山西省にある山)」に住んでいる蛇は、頭を打つとしっぽが反撃し、しっぽを打つと頭が反撃し、真ん中を打つと頭としっぽが一緒になって反撃してくる、とのこと。戦いもこのようでなければならない、と述べています。

〔異形〕常山の陣。

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