改訂新版 世界大百科事典 「幕別」の意味・わかりやすい解説
幕別[町] (まくべつ)
北海道南東部,十勝支庁中川郡の町。2006年3月旧幕別町が忠類(ちゅうるい)村を編入して成立した。人口2万6547(2010)。
忠類
幕別町南部の旧村。十勝支庁の旧広尾郡所属。人口1785(2005)。忠類という地名は,市街地近くの〈チウ・ルイ・トープイ〉(流れ・激しい・当縁川)が下略されたものである。十勝平野南部に位置し,標高200~300mの山に囲まれ,中央を南東へ流れる当縁(とうべり)川流域に平地が広がる。1894年群馬県から移民が入植した。基幹産業は酪農で,一部で畑作も行われ,特産にユリ根がある。1969年,東部の晩成でナウマンゾウの全骨格に近い化石が発見された。国道236号線が通じる。
幕別
幕別町中北部の旧町。帯広市の東に位置し,十勝支庁中川郡所属。人口2万5083(2005)。北部は十勝川の河谷,中・南部には標高100~200mの平たんな台地が広がる。1889年最初の入植者があって開拓が始まり,1905年には釧路線(現,JR根室本線)が開通した。中心市街は初め十勝川の支流猿別川と途別川の合流点にある猿別であったが,鉄道開通とともに現市街地の止若(やむわつか)に移り,止若は63年幕別と改称した。国道38号線が通り,242号線を分岐する。町域は十勝平野の一角を占める畑作地帯で,機械化による大規模な農業経営が行われ,テンサイ,ジャガイモ,豆類を主にダイコン,ハクサイなども産し,酪農および肉牛の飼育も盛んである。また木材,農畜産物関係の工場も立地する。帯広市に接する札内(さつない)地区はベッドタウン化が進み,人口も急増している。札内駅南方,十勝平野を望む台地上に幕別温泉(単純硫黄泉,45℃)がある。
執筆者:奥平 忠志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報