床本(読み)ユカホン

デジタル大辞泉 「床本」の意味・読み・例文・類語

ゆか‐ほん【床本】

《「ゆかぼん」とも》義太夫節太夫たゆう2で語るときに使う、舞台用の比較的大形の義太夫本

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精選版 日本国語大辞典 「床本」の意味・読み・例文・類語

ゆか‐ぼん【床本】

〘名〙 (「ゆか」は高座の意) 浄瑠璃太夫が高座で語る時に使う浄瑠璃本
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「本が有ても読ねへから無本同然。あれで床本(ユカボン)大騒(たいそう)に書せて持居るがをかしい」

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改訂新版 世界大百科事典 「床本」の意味・わかりやすい解説

床本 (ゆかほん)

一般に邦楽各流で舞台で演奏するときに見台(けんだい)に乗せて用いる歌詞を書いた本をいうが,狭義には義太夫節のものを指す。義太夫節のは縦30cm,横20cmぐらいの大版で,一人の受持ち分ごとに1冊になっており,独特の大きな文字で5行に書かれ朱墨で譜が書き込まれている。原則的に手書きで,古くは太夫の受持ちの役場が決まるとみずから書いたが,近年になって専門の書家に書かせるようになった。また師匠から弟子に譲る場合もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「床本」の意味・わかりやすい解説

床本
ゆかほん

日本音楽・演劇用語。おもに義太夫節などで,語り手の太夫が公演の際に見台 (けんだい) の上に置いて使用する詞章本。義太夫節の場合,横約 21cm,縦約 27cmぐらいの大型本で,1行9字前後で5行が標準。特殊な書体で,曲節名,句読点,墨譜その他の注記も書入れられる。

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とっさの日本語便利帳 「床本」の解説

床本

太夫が床の見台に乗せて用いる浄瑠璃の本。極く大文字で書かれており、太夫が語りやすいように符などを書き入れる。太夫は本を押し頂いてから語り始める。

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世界大百科事典(旧版)内の床本の言及

【義太夫節】より


[テキストと記譜法]
 ひとつの浄瑠璃作品全段(全巻)を丸ごと収載した板本を丸本(院本)といい,これによって原作・原曲の様子を知ることができる。上演に際して,太夫が見台に置いて見ながら語るために書いた本を床本(ゆかほん)といい,一段だけを抜き出して記している。また,掛合で語るときに,自分の役割の個所のみ書き出した抜書き本もある。…

※「床本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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