(1)書見台(しよけんだい)の略。斜めに書物をおいて,読むのに便利なようにした台。古くは正倉院に紫檀(したん)金銀絵書几(しよき)と呼ばれる奈良時代の書見台があり,これは肘木(ひじき)の両端に巻物をのせ,添木(そえき)に紙面をはさんで読めるくふうがなされている。見台の形が定型化したのははっきりしないが,室町時代のころとも思われ,現存の美作としては,桃山時代高台寺蒔絵(まきえ)風の東京国立博物館蔵秋草蒔絵見台,江戸初期の加賀の名工清水九兵衛作の和歌浦蒔絵見台などがあげられる。
執筆者:岡田 譲(2)邦楽演奏に使用する詞章を書いた本を載せる台。一般用の書見台から変化したもので,邦楽の種類によってそれぞれ様式が決まっている。詞章が読みやすいように上板が傾斜しているものが多いが,長唄や謡曲(稽古専用)のように上板が水平で机型のものもある。いずれも木製で用材は桐,杉,桑などさまざま,仕上げも木地のもの,漆塗のものなど多様である。最も大きく立派なのは義太夫用で,上板は厚さ5cm以上もあり,黒塗に蒔絵や螺鈿(らでん)を施し,装飾用の大きな房が付いている。さらに艶物や四段目物には朱塗を,追善の場合には木地のものを用いるなどの細かいきまりもある。常磐津(ときわず),清元など豊後節(ぶんごぶし)系の浄瑠璃も黒塗であるが板も薄く支柱も一本棒の簡単な形式である。ただ常磐津では主として芝居の出語りの場合に通称〈タコ足〉と呼ぶ朱塗の大ぶりのものを用いることもある。このように基本型はジャンルごとに一定しているが,さらに流派による細部の相違がある。
執筆者:山田 庄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
書見(しょけん)の際に書物をのせる台で、書見台の略。書物をのせる部分が手前に傾いていて、見やすくしてある。古いものでは、正倉院に奈良時代の書見台が残っており、また桃山時代には蒔絵(まきえ)のりっぱなものもつくられた。一方、見台は、日本音楽の世界では、語り手、歌い手用の譜面台として、おもに謡曲(稽古(けいこ)のとき)、浄瑠璃(じょうるり)、長唄(ながうた)、琵琶(びわ)楽などで用いられている。形状は、種目、流派によりさまざまであるが、正座して使うので、高さは約30~40センチメートルのものが多く、音楽演奏の場に視覚的形式感を添えるのに役だっている。一般に浄瑠璃系の見台は装飾が凝っており、なかでも義太夫(ぎだゆう)節の見台は漆塗りで形も大きく、金蒔絵が施され、房飾りもついている。また常磐津(ときわず)節では、朱塗りの「たこ足」とよばれる見台が使われることもある。
[由比邦子]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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