弓削部(読み)ゆげべ

精選版 日本国語大辞典 「弓削部」の意味・読み・例文・類語

ゆげ‐べ【弓削部】

〘名〙 令制前、弓の製作にあたった部民
※水戸本丙日本紀私記(1678)垂仁「神弓削部〈加牟由介部(かむユケベ)〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「弓削部」の意味・読み・例文・類語

ゆげ‐べ【部】

大化前代、弓の製作を職掌として朝廷に仕えた品部しなべ。その一部は、律令制兵部省造兵司に属する雑戸ざっことなった。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「弓削部」の意味・わかりやすい解説

弓削部
ゆげべ

古代の部(べ)の一種。朝廷に直属して、文字どおり弓の製作にあたった技術者集団である。『日本書紀』綏靖(すいぜい)天皇即位前紀に「弓部稚彦(ゆげべのわかひこ)をして弓を造らしむ」とあるのは、その職掌を神話的に表現したものであろう。弓削部の分布は、丹波(たんば)、出雲(いずも)、吉備(きび)などにみえるが、その中心は弓削部の伴造(とものみやつこ)とみられる弓削氏の本拠河内(かわち)国若江(わかえ)郡弓削郷(大阪府八尾(やお)市)付近に比定される。あるいは、倭(やまと)王権にとって必須(ひっす)の弓の大部分は、各地から貢納された原材料と番上した人員により、河内弓削の地で生産されたのであろうか。なお弓削部は、令制(りょうせい)において、兵部(ひょうぶ)省造兵司雑工戸(ざっこうべ)の雑戸に編入され存続したとみられる。

[大橋信弥]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弓削部」の意味・わかりやすい解説

弓削部
ゆげべ

古代の部民。弓の製作を職とした。本拠は河内 (大阪府) であったが,吉備 (岡山県) ,丹波 (京都府) ,出雲 (島根県) などにも広く分布していた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android