引火点(読み)いんかてん(英語表記)flash point

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「引火点」の解説

引火点
いんかてん
flash point

可燃性の液体または固体を加熱しながらその表面近くにをもたらすときに発する現象引火といい,引火が起る最低温度を引火点という。換言すれば,引火点とは液体または固体が,その表面で燃焼範囲下限に相当するだけの蒸気を発生する温度のことである。引火点では蒸気量が少いので,引火しても燃焼を継続せず,さらに温度が上昇すると燃焼を継続するようになる。この温度を燃焼点 burning pointという。さらに加熱され,炎がなくとも発火する最低温度を発火点という。引火点,燃焼点,発火点とも試験法,測定条件によって多少異なるので,物理定数ではないが,取扱い上重要な物性の一つである。たとえばガソリンおよびエタノールの引火点と発火点とは,-42.8℃,280℃および 11.1℃,422℃。

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精選版 日本国語大辞典「引火点」の解説

いんか‐てん インクヮ‥【引火点】

〘名〙 物質が引火するときの最低温度。引火温度。〔稿本化学語彙(1900)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)「引火点」の解説

引火点
いんかてん
flash point

揮発性の液体や固体から発生する蒸気の圧力が、周囲の空気と可燃性の混合気体をつくるまでに高まると、火を近づけることによって発火する。このときの最低温度を引火点という。さらに昇温を続けると、火を近づけたときに連続して燃焼がおこる温度となるが、これは燃焼点とよんで引火点とは区別する。つまり引火点では、点火用の炎を除くと燃焼はやんでしまう。引火点の測定には密閉式法と開放式法の2法があるが、前者は引火点の低いものについて用いられる。これは、黄銅の容器に試料を入れて加熱し、ときおり蓋(ふた)をあけて小炎を近づけて炎の発生を調べる。潤滑油のように引火点の高いものでは開放式の装置が用いられる。

[山崎 昶]

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化学辞典 第2版「引火点」の解説

引火点
インカテン
flash point

液体あるいは固体の可燃性物質が,空気中で小さい炎によって発火するのに必要な蒸気圧になる最低温度をいう.このときの蒸気圧は爆発下限界に相当するので,これを下部引火点ともいい,爆発上限界に相当する蒸気圧を呈する温度を上部引火点という.可燃性物質が液体炭化水素の場合,引火点(tF℃)と沸点(tB℃)の関係はおよそ次式で表される.

tF = 0.6946tB - 73.7

代表的な可燃性物質の引火点は,ヘキサン-26 ℃,二硫化炭素-25 ℃,アセトン-20 ℃,ベンゼン-11 ℃,トルエン7 ℃,メタノール11 ℃,エタノール12 ℃.

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百科事典マイペディア「引火点」の解説

引火点【いんかてん】

液体または固体の可燃性物質を加熱し火炎を近づけたとき閃光(せんこう)を発して瞬間的に燃焼することを引火といい,一定条件下で引火するのに必要な最低温度を引火点という。ガソリンで−40℃以下,灯油は30℃以上。可燃性物質を連続的に燃焼させる温度は燃焼点といい,通常引火点より高い。

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デジタル大辞泉「引火点」の解説

いんか‐てん〔インクワ‐〕【引火点】

可燃性の物質から発生する蒸気が火を近づけたときに発火するようになる最低温度。

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世界大百科事典 第2版「引火点」の解説

いんかてん【引火点 flash point】

液体または固体の試料を規定の条件下で加熱すると,しだいに蒸気圧が大きくなり,あるいは熱分解反応によって可燃性の蒸気が発生し,空気と混合して可燃性の混合気を生じ,それに小さな炎を近づけると瞬間的にせん光を発して燃焼が起こる。このときの最低温度を引火点と呼ぶ。点火用の炎を取り除くと燃焼はやむ。燃焼を継続させるためにはこれより少し高い温度に保つ必要があり,この温度を燃焼点fire pointと呼ぶ。石油系燃料の場合の引火点試験装置には密閉式(ペンスキー=マルテン式,タグ式など)と開放式(クリーブランド式)がある。

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