改訂新版 世界大百科事典 「弘道館記述義」の意味・わかりやすい解説
弘道館記述義 (こうどうかんきじゅつぎ)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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水戸藩の藩校弘道館の建学の旨意と綱領とを記した藩主徳川斉昭(なりあき)撰(せん)『弘道館記』の解説書。斉昭の命を受け藤田東湖(とうこ)が起草し、会沢正志斎(あいざわせいしさい)らの批評を受けて訂正を重ね、1849年(嘉永2)完成した。神儒合一思想のもと尊王攘夷(じょうい)の具現者として徳川家康の功業を高く掲げ、これを補翼するのを歴代水戸藩主の使命とし、それを守る水戸藩士の責務を熱烈に鼓吹した。会沢の『新論』とともに幕末水戸藩の尊王攘夷論を代表する著作として全国に喧伝(けんでん)され、維新の志士たちに広く愛読された。1866~67年(慶応2~3)木活字本上下2冊が刊行されたが、各地の藩校において教科書として用いられた例が少なくない。
[山口宗之]
『尾藤正英他校注「弘道館記述義」(『日本思想大系53 水戸学』所収・1973・岩波書店)』
水戸藩主徳川斉昭(なりあき)の撰になる「弘道館記」の解説書。同藩士藤田東湖(とうこ)の著。1845~47年(弘化2~4)成立。2巻。内憂と外患が深刻化しつつある政治情勢のもとで,藩内の士民に対し,天照大神や歴代の天皇への恩頼と徳川家康や水戸藩主の徳沢への報恩の論理によって,神州の道の実践にむけて主体性と能動性を喚起しようとするもの。幕末期の志士や近代日本の教育理念に強い影響を与え,会沢正志斎(せいしさい)の「新論」とともに水戸学を代表する著作。「日本思想大系」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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