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形態素 けいたいそmorpheme

翻訳|morpheme

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

形態素
けいたいそ
morpheme

意味を有する最小の言語単位。すなわち,一定の音形と意義の連合した言語形式のうち最小の単位をさす。ほかに,意義を除外して音形の面だけをさす人もいるが適切とはいえない。「記号素」 signemeや monèmeの名称を用いる人もいる。/koneko/ (小猫) ,/'o'janeko/ (親猫) ,/kuroneko/ (黒猫) を比較すると,/-neko/という一定の音形と意義をもった単位を取出すことができ,かつこれ以下に分析すると,音節や音素など,もはやそれ自身では意味をもたない単位となるから,/-neko/は形態素と分析される。同様に/ko'inu/ (小犬) ,/'o'jadori/ (親鳥) ,/kuromame/ (黒豆) などから形態素/ko-/,/'o'ja-/,/kuro-/が分析される。また別に book-sなどの book- のようにおもに語義的意義をになう部分を sémantèmeないし lexème (意義部,語義的形態素) とし,それに対して-sのようにおもに文法的意義をになう部分を morphème (形態部,文法的形態素) と呼ぶ人もいる。上に述べた意味では,このどちらも形態素と認定される。ただし,形態素の定義自体は明瞭であるが,実際には,コッペ-パンのコッペ-などのような無意味形態素というべきものがあり,またタイヤキとタコヤキの差など,各形態素の意味を単に足しただけでは単語の意味は説明できないので,固定した意味をもつ最小単位はむしろ単語とすべきである。

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デジタル大辞泉の解説

けいたい‐そ【形態素】

《〈フランス〉morphème》言語学で、意味をもった最小の音形。ヤマ(山)のように形態素一つで単語が構成される場合もあれば、ヤマカゼ(山風)のように複数の形態素が単語を構成する場合もある。→意義素

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世界大百科事典 第2版の解説

けいたいそ【形態素 morpheme】

意味をもつ最小の言語単位。〈ホンバコ〉という語は,〈ホン〉と〈バコ〉という意味をもつ最小単位,すなわち形態素に分けられる。バコ/bako/はハコ/hako/と同じ意味であるが,複合語の後の要素として用いられている。このように形態素は現れる場所により異なる語形をとることがある。これを異形態allomorphという。すなわち,音素の連続で表される異形態/hako/と/bako/を代表して抽出されたものが形態素{hako}であって,普通は{ }にくくって表される。

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大辞林 第三版の解説

けいたいそ【形態素】

〔morpheme〕 意味を有する最小の言語単位。意味の最小のまとまりに相当する語形。 → 意義素
フランス morphème〕 それ自身では実質的な意味を表さず、もっぱら形式的・文法的な機能を果たす語、または語形の一部分。形態部。 ↔ 意義素

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

形態素
けいたいそ

意味をもつ最小の形式的単位を表す言語学の用語。本箱「ほんばこ」は「ほん」と「ばこ」という二つの意味をもつ部分に分けられる。「箱」は単独に用いられるときは「はこ」であるから、形態素の{hako}は/hako/と/bako/という二つの表れ方をする。このような具体的な音素連続の形をしたものを異形態allomorphという。すなわち、形態素は異形態の代表である。「話し手」の「て」は行為者を表していて、「右手」の「て」とは意味を異にする。したがって、これら二つの/te/は異なる形態素に属する。また、英語の複数形boys[bi-z]「複数の少年」とox-en[ks-n]「複数の牛」では、語尾の[-z]と[-n]の形は違っていても複数の意味は同じであるから、同じ複数形態素の異形態である。[-n]のように、語形が異なっていて、特定の語oxとのみ結び付く異形態を補充形という。さらに、sheep[i:p]「羊」は単複同形とされているが、複数形をsheep-(ゼロ)と分析し、ゼロの複数語尾を設定すると、複数形はすべて「単数形+複数語尾」という首尾一貫した形式で説明ができる。また、man[mn]「人」の複数形men[men]では、なかの母音が[]→[e]に置き換えられると考えることもできる。なお、複数形boy-sにおいて、前半のboyはそのままで発話となるので、自由形式free formの形態素であるが、後半の-s[-z]はつねに他の形態素と結び付いて発話に用いられるので、結合形式bound formをなすという。[小泉 保]
『小泉保著『日本語教師のための言語学入門』(1993・大修館書店)』

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世界大百科事典内の形態素の言及

【形態論】より

…伝統文法では,形態論morphologyは語の配列や用法を扱う統語論(シンタクス)と音韻論と共に文法の三大部門をなしている。(2)構造言語学では形態素の設定と種類およびその配列と構造を扱う部門とされている。このうち形態素の結合によって生じる音声変化を記述する部門を形態音素論morphophonemicsという。…

【言語】より

…文法というのは,言語の中で意味が関与する分野における規則性・法則性の総体であるともいえる。 なんらかの意味に対応する音形のうち,それ以上分析できないものを〈形態素〉と呼ぶ。単語が意味を有するものにそれ以上分析できなければ,それは同時に形態素でもあるが,上述の語幹(それが分析不能の場合),屈折接辞も形態素である。…

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