精選版 日本国語大辞典 「音素」の意味・読み・例文・類語
おん‐そ【音素】
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言語音声は多様で、言語により個人により異なっているが、意識して区別できる音の単位は一定で、その数は少ない。語の意味を区別できる音声の最小単位を音素という。
タス「足す」とヒク「引く」の意味を区別しているのは、「タ」と「ヒ」の音声部分である。タス[tasɯ]とダス[dasɯ]の意味を区別しているのは、[t]と[d]の音声部分であるが、これ以上小さな連続した音声部分に分解できないから、/t/ と /d/ は音素である。音素は斜線で囲んで、これを表す。/t/ と /d/ はともに歯茎閉鎖音であって、/t/ は無声、/d/ は有声の音声特徴をもつ。そこでタスとダスの語を究極において区別しているのは、無声と有声という特徴であることになり、これらを弁別的特徴という。カス[kasɯ]とタス[tasɯ]の対立から音素 /k/ と /t/ が取り出される。ともに無声閉鎖音であって、弁別的特徴は /k/ の軟口蓋(こうがい)と /t/ の歯茎という、調音する場所の違いによっている。
サス[sasɯ]とタス[tasɯ]を比べれば、音素 /s/ が求められる。ともに無声歯茎音であって、弁別的特徴は /s/ が摩擦音、/t/ が閉鎖音という調音方法の相違に基づく。そこで、音素 /t/ は「無声・歯茎・閉鎖」という弁別的特徴から成り立つから、音素は弁別的特徴の束であるともいえる。また、英語のbelow[bilóu]「下に」とbillow[bílou]「大波」では、強さアクセントの位置により意味が変わる。また日本語のハシ「箸」とハシ「橋」では、高さアクセントの位置により意味が違ってくる。このようにアクセントも語の意味を区別する限り音素とみなされる。
[小泉 保]
『柴田武編『言語の構造』(『講座言語 第1巻』1980・大修館書店)』
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…音韻は言語音声から意識された要素として抽出された最小の単位で,フォネームphonemeの訳語として音素と同じ意味に用いられることが多い。音素は音声の最小単位たる単音に対応する分節音素と強弱や高低アクセントのように単音に対応しない超分節音素に分けられるが,このうち分節音素に限り音韻と呼ぶこともある。…
…言語学の用語。フランスの言語学者A.マルティネの言語理論の根幹をなす認識。人間の言語は多くの観察によってこの二重分節をそなえていることが知られ,また人間の言語に課せられた基本的な要請からいっても,そこには二重分節構造がぜひ必要であると考えられる。 人間の言語に課せられた基本的な要請としては,まず〈多様性〉の問題がある。人間の言語は次々と生じる新たな表現の必要を満たさなくてはならない。そこから無限の多様性の要請が出てくる。…
…音韻は言語音声から意識された要素として抽出された最小の単位で,フォネームphonemeの訳語として音素と同じ意味に用いられることが多い。音素は音声の最小単位たる単音に対応する分節音素と強弱や高低アクセントのように単音に対応しない超分節音素に分けられるが,このうち分節音素に限り音韻と呼ぶこともある。…
…
[音韻]
次に,言語の音の面に注目すると,単語(あるいは,形態素)は,意味を無視するならば,さらに小さい単位から成り立っている。音の面での最小単位を〈音素〉と呼ぶ。各言語はそれぞれある数(通常,十数個から数十個)の音素を保有し,それらを順に並べて単語などの音形を構成している(こういう状態も,〈分節〉と呼ばれる)。…
…
[音韻論]
音韻論的研究は,その言語がどのような音をどのように用いてその音的側面を構成しているかを研究する。どの言語も,ある数(通常,十数個から数十個)の〈音素〉と呼ばれる音的最小単位を順番に並べて単語などの音形をつくっていることがわかっているので,音韻論的研究の第一歩は,その言語にどのような音素が存在するのかということである。この研究は,一見容易に思われるかも知れないが,実際はかなり困難な仕事である。…
… また数千から数万の意味の切片を,一つ一つ,未分化の声のかたまりで区別していくことは,人間の発声能力の点からいっても認知能力の点からいっても不可能であり,ここにも分析的な手法を人間は用いる。つまり意味の切片は,それを表す形の面で,人間に発声可能で認知可能の音の小切片(〈音素phonème〉)に分節される。この分節が〈第二次分節〉といわれるものである。…
…使用者が十分使いこんで使用が容易になっている要素を別とすれば,変化はことばの中の不経済なものを取り去り,結果として使用者にとって労力の節約になるような形で生じるのである。また,ことばの機能性という点からみると,音素構造こそ,人間のことばが常に経済的にそして正確に機能することを保証する鍵である。つまり人間は音素構造を縦横に駆使することにより,わずかな数の音単位を用いて一定数(かなりの数)の記号素を安価につくることができる。…
※「音素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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