彭祖(読み)ほうそ(英語表記)Péng zǔ

精選版 日本国語大辞典 「彭祖」の意味・読み・例文・類語

ほうそ ハウソ【彭祖】

中国の伝説上の人物。導引の術に長じ、殷末には七百余歳(または八百余歳)で壮健であり、のち西方に去ったという。

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デジタル大辞泉 「彭祖」の意味・読み・例文・類語

ほう‐そ〔ハウ‐〕【彭祖】

中国古代の伝説上の人物。顓頊せんぎょく玄孫で、いん末時に七百余歳で壮健であり、のち、西方に去ったといわれる。長寿の代表的人物。

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改訂新版 世界大百科事典 「彭祖」の意味・わかりやすい解説

彭祖 (ほうそ)
Péng zǔ

中国古代の伝説上の長寿者。《荘子》などは単に長寿者の代表として言及するが,神仙思想の発達につれて仙人の一人とされ,さまざまな伝承が付加された。《列仙伝》などによれば,姓は籛(せん),名は鏗(けん)。陸終氏の第3子で帝顓頊(せんぎよく)の玄孫。帝尭(ぎよう)のときに彭城に封ぜられたので彭祖という。つねに桂芝を食し,導引養生の術をよくして長寿を得,殷末には700余歳に達したが,その後昇天したという。
執筆者:

《医心方》に抄録された《養生要集》には彭祖の養生法が記載されている。〈養生の仙方は,いのちを損わないようにすることである。自然の推移に調和して四季に身を適応させ,美人のものごしを娯(たの)しんで執着せず,車馬は分をこえた飾りつけを望まず,音楽は耳をよろこばす程度にひかえ,欲望におぼれぬようにコントロールする。重ね着や厚い敷物は風邪をひきやすい虚弱体質にし,飲みすぎ食べすぎは病気の原因となり,房事過多は体力減退,気力脱落を招き,物見遊山や野外のレクリエーションも,度をこせば身体のバランスをくずす〉といましめている。また呼吸法についても〈少しでもその道に明るければ240歳の寿命を得,この道を究めれば480歳まで生きられる。心を空にし,身を虚にすること。満腹充足は気を渋滞させる。喜怒哀楽の情がはげしいと上気する。だんだんと修練して行くべきである〉と説く。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「彭祖」の意味・わかりやすい解説

彭祖
ほうそ

中国古代の伝説上の人物。姓は籛、名は鏗(こう)で、五帝の一人とされる顓頊(せんぎょく)の玄孫と伝えられる。彭城に封じられたところから彭祖と称したが、老子と並ぶ長寿者として有名である。彼は導引という呼吸術を行い、つねに仙薬を服したため殷(いん)王朝の末には700歳余りに達していたという。これを聞いた時の王は彭祖を大夫(たいふ)に任命したが、彼は病気と偽ってまったく政務につかなかった。また、王に長命の法を問われてこれを伝授したが、のちに王が秘法のひとり占めを図って彭祖を殺そうとしたので、行方をくらましたという。

[桐本東太]


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普及版 字通 「彭祖」の読み・字形・画数・意味

【彭祖】ほう(はう)そ

太古の長寿者。また、彭鏗という。〔荘子、逍遥遊〕彭は乃ち今久しきを以て特(ひと)り聞ゆ。衆人之れに匹(なら)はんとす。亦た悲しからずや。

字通「彭」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の彭祖の言及

【唾液】より

…唾液中にあるパロチンというホルモンは間葉系組織の生理的な発育と栄養に役立ち,緒方知三郎によれば強精効果もあるという。《玉房指要》には彭祖(ほうそ)の言として,五臓が分泌する液は舌に集まるので,神農(しんのう)のころの雨をつかさどる仙人赤松子のように美女の唾を飲めば穀類をとる必要がなく,交接の最中に女性の舌を吸って唾液をたくさん飲みこめば胃炎や乏尿に効き,皮膚は潤って〈姿処女のごとし〉とある。 エジプト神話の中では,テム神の唾からシュー神とテフヌート神が生まれてくる(W.バッジ《エジプト人の神々》)。…

※「彭祖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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