御成始(読み)おなりはじめ

精選版 日本国語大辞典 「御成始」の意味・読み・例文・類語

おなり‐はじめ【御成始】

  1. 〘 名詞 〙 臣下邸宅に対する将軍最初の正式な訪問年頭恒例行事と、新築による臨時の行事とがある。
    1. [初出の実例]「当院、来十八日、御成始之事伺之。処々御成」(出典蔭凉軒日録‐永享八年(1436)正月一四日)

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改訂新版 世界大百科事典 「御成始」の意味・わかりやすい解説

御成始 (おなりはじめ)

皇族,摂家,将軍などの出行,来着を御成といい,将軍年初の出行を御成始と称した。御行始ともいう。ことに鎌倉・室町時代には,幕府の重要な正月儀礼の一つであった。鎌倉時代には日時は不定であり,源家三代のときは,安達八田比企,大江氏などの幕府草創期の功臣の宅へ赴いているが,摂家・親王将軍時代になると,もっぱら北条氏がこれを独占し,相伴には殿上人も加わり,儀礼的性格がいっそう強まった。この儀は室町幕府の年中行事にも踏襲され,武家儀礼の拡充をみた応永(1394-1428)ごろより応仁の乱前まで,毎年正月2日に管領邸,5日に畠山,12日に斯波,19日は赤松,22日は山名,23日は細川,26日は京極邸へ恒例として御成が行われ,饗宴が催されたが,このうち管領邸へのそれを特に御成始と称した。この儀礼の意図は,将軍と御家人武家衆との主従的なきずな,親密さを深めるところにあった。なお織豊政権,徳川幕府では行われていない。
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