御朱印(読み)ゴシュイン

デジタル大辞泉 「御朱印」の意味・読み・例文・類語

ご‐しゅいん【御朱印】

朱印または朱印状敬称

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精選版 日本国語大辞典 「御朱印」の意味・読み・例文・類語

ご‐しゅいん【御朱印】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 )
  2. 朱印の敬称。戦国時代以来、大名公文書に押した朱色の印。江戸時代には将軍の実名を陽刻したものが用いられた。また、朱印の押された文書
    1. [初出の実例]「七日の申刻に御朱印給云々」(出典:多聞院日記‐天正八年(1580)一一月九日)
  3. 公認であること。おおっぴらなこと。隠しだてのないこと。
    1. [初出の実例]「御朱印だなどとじゃらつくいい名付」(出典:雑俳・川柳評万句合‐明和四(1767)義五)
  4. 天保の改革をしゃれていった語。
    1. [初出の実例]「御朱印後は世の中がめっきりつまりました抔と、どてもない鄙言をいひ出す」(出典:随筆・皇都午睡(1850)三)

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知恵蔵 「御朱印」の解説

御朱印

神社仏閣を参拝した証として、寺社から受ける印影。朱色が多いが、カラフルな印影もある。志納金や初穂料として数百円を納めて、和紙をとじた御朱印帳に押してもらうのが一般的だが、押印した御朱印が配られるケースもある。御朱印の押印と併せて、寺社の名称や本尊、参拝日を墨書きしてもらうことが多い。スタンプラリー的な要素があり、旅の記録にもなることから、人気を集めている。しかし、ブーム過熱と共に、インターネット上での転売や寺社でのマナー違反などが問題となっている。
室町時代、寺社に写経を納めた際に授与された「納経印」に由来すると言われている。江戸時代に、庶民の間にも、伊勢参りなど寺社参詣(さんけい)を目的とした旅行が流行したことから、納経印の慣習が広まり、いつしか参拝すればもらえるようになっていった。その後、現在のように御朱印帳に印影を押してもらう様式が定着した。
2008年ごろから、パワースポット巡りと相まって、若い女性を中心に御朱印集めが人気となり、関連する書籍が次々と出版され、雑誌やテレビなどで特集が組まれるようになった。御朱印帳を持って各地の寺社を回る女性を指す「御朱印ガール」という言葉も生まれた。また、期間限定で特別な御朱印を提供する、一定期間ごとに御朱印のデザインを変える、御朱印に別の印を添えるなど、独自の取り組みをする寺社が増え、これらの情報がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で広く発信されていった。
これに伴い、珍しい御朱印や、期間限定の御朱印を授与する寺社には多くの参拝者が詰めかけるようになり、19年5月1日の改元前後には、各地の寺社で、平成最後や令和最初の御朱印を求める参拝者が長蛇の列を作った。しかし、ブームが過熱するにつれ、希少価値のある日付や期間限定の御朱印が、インターネットオークションなどで志納金や初穂料の数倍の値段で転売されるケースや、限定の御朱印を入手できずに神職らに暴言を吐くなど、マナーの悪い参拝者が目立つようになった。
こうした状況を踏まえ、一部の寺社では、期間限定の御朱印の配布を取りやめたり、御朱印の授与を中止したりするなどの対応が取られている。

(南 文枝 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「御朱印」の意味・わかりやすい解説

御朱印
ごしゅいん

寺院や神社に参詣・参拝した際、証(あかし)として授け与えられる印影。朱印。寺社の名称、本尊や神体の名称、日付などが墨書され、護符の宝印が朱墨で押される形が多く、布施や初穂料を納めて押印してもらう。書写した経文を奉納した際に納経の証明として授与されたものが起源とされ、西国巡礼などの信仰とともに広まったとされている。授与される場所を納経所とする所が多いのも、こうした成り立ちによるものと考えられる。朱印を納経印とよび、納経した人にのみ授与する寺院もある。また、朱印に御詠歌を書き添えたものなど、個性的なものも多いため、趣味として集めている人が少なくない。

 朱印は朱印帳や納経印帳とよばれる専用の帳面に押印してもらうことが多い。これらは、開くと平らになって墨書きがしやすいよう、蛇腹折りになったものが一般的で、和綴(と)じや袋綴じのものもある。御札や御守りと同様のものであるため、普段は神棚や仏壇に保管する人も多い。朱印帳は初めて朱印を受ける際に寺社で求める場合が多いが、朱印を収集する若い人が増えたこともあり、表紙や見た目に工夫を施したものが文具店や書店などでも販売されている。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内の御朱印の言及

【朱印状】より

…このため両氏の政策は朱印制度と呼ばれる。徳川氏の朱印の使用法もほぼ同じであって,御朱印という語がこの3氏の朱印状をさす場合も多い。また豊臣・徳川両氏は国外に発行する外交文書に朱印判を用い,朱印状によって貿易を許可したので,朱印船の称が生まれた。…

※「御朱印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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