御詠歌(読み)ごえいか

日本大百科全書(ニッポニカ)「御詠歌」の解説

御詠歌
ごえいか

巡礼または講などで(ふし)を付して唱える歌。一般に(れい)にあわせて詠吟される。巡礼歌ともいう。本来は、神をたたえる御詠の意である。鎌倉時代以降、和歌の霊的作用を重視する傾向が生じ、それを継承したものである。西国(さいごく)三十三所のものがもっとも古いが、出典をたどれるものは多くない。西国第33番の華厳寺(けごんじ)(岐阜県)の御詠歌が『千載(せんざい)集』巻19に、信濃(しなの)(長野県)善光寺御詠歌第19番が『風雅(ふうが)集』に、同寺の第20番が『玉葉(ぎょくよう)集』にみられる程度である。御詠歌の作者は、ほとんど無名の人と考えて大過ない。巡礼の行われている霊場にはかならずといってよいほど御詠歌が付随しており、今日もなおつくり続けられている。

[北西 弘]

『武石彰夫著『仏教歌謡の研究』(1969・桜楓社)』

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精選版 日本国語大辞典「御詠歌」の解説

ご‐えいか【御詠歌】

〘名〙 霊場めぐりの巡礼や浄土宗信者などが、鈴を振りながら哀調を帯びた節まわしで声を引いて歌う、仏の徳などをたたえた歌。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)五「商神のあらんかぎりはとの御詠歌(ごヱイカ)の心は惣じて産業(すぎはひ)の道」
[語誌](1)「詠歌」はもともと歌を詠むこと、すなわち、和歌を声に出して歌うこと、また作ることを意味する。それが「御詠歌」となる背景には、特に中世期における仏教と和歌との密接な関係(和歌陀羅尼観などに代表される)があると思われる。
(2)その発生は、室町以後と推定され、伝承では、西国三十三番札所にのこる三十五の御詠歌の源を花山院に求めるが疑わしい

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百科事典マイペディア「御詠歌」の解説

御詠歌【ごえいか】

詠歌・巡礼歌とも。仏教音楽の一種。一般信徒が寺院・霊場巡礼の際に唱える歌。鈴(れい)に合わせて唱えることが多い。御詠歌がいつごろから歌われるようになったかは定かではないが,16世紀ころにはすでに存在していた。現在の歌い方が確立したのは江戸時代初期以降で,明治以後には,金剛流,大和講,一定節などの流派が生じた。
→関連項目和讃

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「御詠歌」の解説

御詠歌
ごえいか

巡礼歌ともいう。西国三十三所の霊場をめぐる巡礼者の称える和讃のこと。花山院奉納の勅吟である三十三所それぞれ1首ずつの歌が最古といわれる。その後,種々のものができ,流派を生じたが,一般には鈴 (れい) に和して吟詠されている。

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世界大百科事典 第2版「御詠歌」の解説

ごえいか【御詠歌】

仏教の歌謡の一種。和讃に対して,この歌謡は札打和讃ともいい,巡礼,遍路が,札所に参詣したときに詠唱するための詠歌である。和讃はすべての仏菩薩を賛嘆するのに,インドの梵讃,中国の漢讃にならって,和語韻文をつらねる。しかし御詠歌は三十一文字の和歌で,札所の本尊へのをあらわすものである。その和歌は読人知らずで,平易通俗な歌詞なので,おそらく近世になってできたものといわれる。節も一節だけで単調であるが,その哀調をおびたメロディは日本人の心の琴線にふれるものがある。

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世界大百科事典内の御詠歌の言及

【西国三十三所】より

… 霊場の寺々には,仏の救いを約束するために,さまざまの霊験談が語られ,庶民の文化交流のうえでも,重要な役割を果たしている。霊場に伝わる霊験談や,仏前で歌う御詠歌(ごえいか)は,観音に寄せる庶民の期待を物語っている。ここに表れている仏教思想には,露,波などの語によって示される,きわめて達観的な無常観がまず挙げられる。…

※「御詠歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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