御薪(読み)ミカマギ

デジタル大辞泉 「御薪」の意味・読み・例文・類語

み‐かまぎ【薪】

《「御竈木みかまぎ」の意》
律令時代、毎年正月15日に、百官宮中献上した薪。また、その献上の儀式
神社寺院に奉納したり、そこでたいたりする薪。
江戸時代武家で正月15日に割った薪に墨で12本の線(閏年は13本)を書き、門の両側の柱に寄せ掛けて立てたもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御薪」の意味・読み・例文・類語

み‐かまぎ【御薪】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「御竈木(みかまぎ)」の意 )
  2. 令制で、毎年正月一五日に、その年の燃料として百官が宮中に献上する薪(たきぎ)。また、その献上の儀式。《 季語・新年 》 〔令義解(718)〕
    1. [初出の実例]「百敷のももの司のみかまきに民の煙もにぎはひにけり〈藤原家尹〉」(出典:年中行事歌合(1366))
  3. 神社や寺院に奉納したり、そこでたいたりする薪。
    1. [初出の実例]「彼の法会に、御薪(ミカマギ)、華山供断付らるる」(出典:わらんべ草(1660)三)
  4. 江戸時代、武家で正月一五日に、割った薪に墨で一二本の線を書いて、その屋敷の門の両側の柱に寄せかけて立てたもの。閏(うるう)年には一三本の線を書いた。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
    1. 御薪<b>③</b>〈守貞漫稿〉
      御薪〈守貞漫稿〉
  5. 正月用の燃料で、各地で門松の根本に割木を立てる年木と同種類のもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御薪」の意味・わかりやすい解説

御薪
みかまぎ

律令制下,毎年1月 15日諸官諸司が宮内省に納めた薪。またその儀式をさす。7世紀の中頃天武天皇のときに始った。令の規定で,在京の文武官人は位階に応じて一定数の薪を納める。平安時代には,畿内国司も御薪を納めることが『延喜式』に規定され,さらに諸大寺にもこの風習が普及した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android